東京都千代田区議選で、男性候補が名前で自らの局部を隠しただけの「全裸」ポスターを掲示して、物議を醸している。ポスターの内容は、どこまでが許されるのか。
「インパクトはありますね」「なぜ審査通った...」「やばすぎるっしょ」
過去にも奇抜な選挙ポスターを張り出して、話題に
ポスターの写真がツイッターなどで出回ると、こんな驚きの声が次々に上がった。
これを掲示したのは、無所属の新人(32)だ。旭日旗を元にデザインしたらしい模様をバックに、日本刀のような刃物を裸で振りかざしている。パンツは履いていないようにも見えるが、はっきりしない。これが、告示日の2015年4月19日から千代田区内に111か所あるポスター掲示場で次々に張り出された。
ポスターに書かれているのは、本人の名前しかなく、何を訴えたいのかは不明だ。
この候補は、過去にも奇抜な選挙ポスターを張り出して、話題を集めたことがある。
13年2月の千代田区長選では、自らの名前をもじったような英語の言葉を書き、ゴスロリ調ともされたデザインをあしらったポスターを張っていた。また、この年6月の都議選では、全身タイツ姿でパンダに乗っているようなデザインのポスターだった。選挙には、11年4月の神奈川県議選から出ており、今回で6回目の挑戦となる。
選挙ポスターの写真などは、内容によっては投票にも影響が出かねないが、どこまで許されるのだろうか。
千代田区選管の事務局では、取材に対し、公職選挙法上は、ポスターが規定の大きさで、掲示責任者らの名前が載っていればよく、特に審査はしていないと説明した。
苦情を伝えるも、候補は張り替えを拒否?
ただ、男性候補のポスターについては、「不愉快だ」などと有権者らから苦情が4、5件あったことを明らかにした。
これを受けて、千代田区選管では4月19日、候補本人に苦情があることを話した。しかし、本人は張り替える予定はないと答えたといい、選管でも、対応に苦慮している。
総務省の選挙課でも、取材に対し、「公選法上は、虚偽事項や利害誘導に関すること以外は、ポスターの内容は一切自由になっています」と言う。刑法などに触れる恐れのある場合でも、最終的には警察の判断になるようだ。
海外では、選挙ポスターにヌード写真を使って物議を醸したことも報道されているが、日本でも、過去には、それに近いケースもあった。
新聞報道によると、20年ほど前の兵庫県知事選や兵庫県議選などで、女性の後ろ姿のヌード写真がポスターに使われたことがあった。地元の中学校などから「何とかしてほしい」との苦情が寄せられ、県選管は、法的には撤去を求められないとしながらも、候補者に苦情があることを伝えた。このときは、候補者もポスターを外すことに同意するなどしたそうだ。