ソニーが丸19年にわたって単独スポンサーを続けてきた「世界遺産」(TBS)から、2015年3月末の放送を最後に撤退した。入れ替わる形でスポンサーになったのが競合するキヤノンで、撮影機材もキヤノン製に切り替えられた。
番組には、元々は認知度が低かった「世界遺産」という存在をソニーの機材で記録し、視聴者に広く知らせるという狙いも込められており、「技術のソニー」を象徴する存在でもあった。今回の撤退はソニー、番組の双方にとって大きな方向転換だ。
ソニーの最先端機材での撮影を前面に押し出していた
「世界遺産」の放送は1996年4月に日曜日の深夜枠で始まり、08年からは「THE 世界遺産」と名前を変えて日曜日夕方に放送されてきた。かなり早い段階でハイビジョン機材を使った撮影が始まり、10年には3D、13年には4Kでも番組が収録されるなど、ソニーの最先端機材での撮影を前面に押し出しているのが特徴でもあった。
15年3月29日の放送までは、冒頭には「Sony presents」の文字が表示され、最後には「This program has been brought to you by Sony.(この番組はソニーの提供でお送りしました)」というアナウンスが入っていた。いずれも1社提供を示すものだ。
番組20年目の初回にあたる4月5日の放送では、これが一変。番組からはソニーの文字が消え、提供スポンサーとして読み上げられたのはスバル、キヤノン、大和ハウス工業、三菱東京UFJ銀行の4社だった。
エンドロールにも「使用機材」として「Canon EOS」「Canon CINEMA EOS System」と明記。撮影機材がソニー製からキヤノン製に切り替わったことがわかる。
キヤノンの販売会社、キヤノンマーケティングジャパンのフェイスブックでは、新年度の番組について
「EF11-24L等の特徴あるレンズや超高感度動画カメラなども活用し、新たな映像表現制作をしていきます」
などとキヤノンの技術を生かした映像表現をアピールしている。