理研・野依良治理事長、会見で引責辞任を否定 ネットで「貴方が、一番の責任者でしょ」の声

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   理化学研究所の野依良治理事長(76)が、STAP細胞論文問題で責任を取って辞任することを会見で否定し、ネット上で、ブーイングが出ている。実質的な引責辞任だった可能性もあるが、その物言いが反発を呼んだらしい。

   この問題を巡って野依良治理事長が表に出るのは、半年ぶりだった。埼玉県和光市の理研本部で2015年3月23日に会見した野依氏は、やや硬い表情でまず謝罪の言葉を述べた。

  • 責任はない?(2014年4月1日撮影)
    責任はない?(2014年4月1日撮影)
  • 責任はない?(2014年4月1日撮影)

「やっぱり研究者たちに大きな責任がある」と断言

「組織としても未然に防げなかったことは誠に遺憾でありまして、心からお詫びを申し上げる次第です」

   そのうえで、再発防止策が外部委員会から評価され、改革のめどが立ったと強調した。すでにマスコミが報じている3月末での辞任については、人事のことは言えないとしたものの、研究機関で不正があった場合の一般的な対応だとしてこう口を開いた。

「技術的な研究をやるような所ではですね、その組織の長が引責辞任するという例は、私は皆無だと思っています」

   つまり、STAP細胞論文問題で責任を取ることはありえないということらしい。そして、論文を書いた元研究員の小保方晴子氏らについて、「やっぱり研究者たちに大きな責任があると思います」と断言した。野依氏によると、「問題は、研究現場での相互チェックが不十分だったことに起因している」というのだ。

   会見で理研の対応が後手に回ったことを聞かれると、野依氏は、「若干の間違いはあったが、その場その場で適切な判断をしてきた」と反論した。14年10月に給与の一部を自主返納したことで責任は取ったとの立場だといい、野依氏は、自らの対応には問題がなかったことを強調した。

   報道によると、野依氏の任期はまだ3年あるが、今回辞任するのは、高齢なことや在任が11年と長期化したことが主な理由という。STAP細胞論文問題以前から辞任の意向を文科省に伝えていたともされている。

「ご本人の気持ちですので、こちらでは分かりません」

   野依良治氏が、自らの責任逃れをするような態度を示していることに、マスコミでも批判が出ている。

   毎日新聞は、記者の解説記事で「理化学研究所はSTAP問題での迷走した対応で、科学への信頼を失墜させた」と断じ、野依氏の会見での発言について「責任棚上げ」だと指摘した。こうした対応の背景には、予算増につながる特定国立研究開発法人の関連法案を早期に成立させてもらいたい理研の思惑があるとし、「旧経営陣の責任を明確にしないままの交代は、『新生理研』のガバナンス力(組織統治力)への疑問を招く恐れがある」と書いている。

   また、読売新聞は、会見前の3月11日、「検証STAP問題」の記事で、理研は当初、1か月半で調査を打ち切り、幕引きを図ったとして、「もっと早期に調査を徹底すれば、真相解明はもう少し進んだかもしれない」と指摘した。その後も、疑惑から目をそらして、調査の再開も大幅に遅れたとして、「経営陣の消極的な姿勢が、STAP問題の対応を混乱させたという批判は根強い」としている。

   ネット上では、野依氏の発言に理解を示す声もあるが、手厳しい意見の方が多い。「耳を疑う! 貴方が、一番の責任者でしょ」「現場に責任押しつけるような責任者がいる構造が問題」「こんなこという長の下で働いていた人々が気の毒すぎ」といった声だ。

   理研の広報室では、取材に対し、いつかは分からないものの野依氏本人が辞任の意向を文科省に伝えたことを認めた。しかし、引責辞任かどうかについては、「ご本人の気持ちですので、こちらでは分かりません。引責を否定と報じられたのは、発言を聞いての捉え方だと思います」と言っている。

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