チュニジアのテロで負傷して現地で入院中の結城法子さん(35)が、一部マスコミに寄せた手記で、次々と取材に来たのがショックだったと明かした。ネット上では、被害者への過度の取材については疑問視する声も多い。
結城法子さんは、2015年3月18日の事件後に、包帯を巻くなどした痛々しい姿のまま病室でインタビューを受ける姿がNHKニュースなどの映像に流され、話題になった。結城さんは、陸上自衛隊の3等陸佐で、チュニジアには母親とプライベートで旅行していて被害に遭った。
日テレ記者から「NHKに名前も顔も出ている」と言われ
その後は、事件で負傷した母親とともに現地の病院で治療を受けているが、朝日新聞や産経新聞などは22日、結城さんが現地の日本大使館を通じて手記を寄せたと報じた。
そこでは、自らが体験した当時の様子を生々しく語るとともに、マスコミの取材ぶりについても触れた。
手記によると、病院では、けがをした耳の処置をされた後、まずNHKや米ニューヨーク・タイムズ紙の記者が来て、質問に答えるように言われた。結城さんは、「そうしなくてはならない」と義務があるかのように感じ、取材に受け答えした。
さらに、全身麻酔をして3時間にもわたる手術をした後、夜10時を過ぎて病室に戻ると、そこにはすでに、大使館員と日本人の現地のコーディネーターがいた。結城さんは、コーディネーターから日本テレビのインタビューを受けるように言われ、日テレ記者の質問に答えた。記者からは、「そのままテレビで流していいですか」と聞かれたが、ボーッとして恥ずかしかったので断った。しかし、記者からは、「すでにNHKのインタビューがテレビで流れていて、名前も顔も出ているからいいでしょう」と言われ、ショックを受けたという。
母親と同じ病室になった後も、マスコミの取材は続いた。
今度は、部屋の前で、取材を制止された朝日新聞の記者が大使館員に対し「あなたに断る権利はない」と怒鳴る声が聞こえ、またショックを受けた。