インターネットによる通信販売サイト「楽天市場」で、架空の注文をしたりウソの口コミを投稿したりする大掛かりな「ステマ」が発覚した。
楽天はこれを仕組んだとして大阪市のシステム会社に約1億9800万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こしたが、通販への不信がさらに広がりかねない事態になっている。
月額8万円で、店側に優位な評価を月150件ずつ投稿
楽天が訴えたのは、大阪市北区でホームページの制作やサイトの運営・保守などを主な業務とする「ディーシーエイト」。2015年3月20日に第1回口頭弁論が開かれ、同社側は争う姿勢を示しているという。
楽天では、「楽天市場」で買い物した人が商品を5段階で評価してコメントを投稿できる「みんなのレビュー」を提供。また、売れ筋商品をランキングで表示しており、利用者が商品を購入する際の判断材料にしてもらっている。
ディーシーエイトは、ランキングの上位表示を狙った出店者の依頼を受けて、「やらせ」の口コミや架空の注文を繰り返し、わかっているだけで11万4327件も投稿していた。
同社の行為はステルスマーケティング、いわゆる「ステマ」だ。契約した出店者の商品を称賛する、好意的な口コミをいくつも投稿。それによって、その商品はランキングの上位に表示され、商品が売れて出店者は儲かる。
楽天市場のような集客力の高いサイトになると、多くの人が検索の1ページ目に表示された、上位人気の商品を選ぶ傾向にあるからだ。
複数のメディアによると、2014年1月に楽天は調査で121の出店者がディーシーエイトに依頼して、月額8万円で店側に優位な評価を月150件ずつ投稿する契約を結んでいたことを把握。もともと楽天は利用規約で出店者による「自作自演」の投稿を禁じている。各出店者に中止を求めたが、これに応じなかった数十店とは出店契約を解いたという。
楽天は「サクラ行為で公正なサービスを妨害された」と主張しており、それらによる損害賠償を求めた。
「おべっかとかばっかり」「やっぱりサクラ業者いるのか」
楽天の訴えに、インターネットには、
「(楽天が)言いたいのはレビューの中立性、信頼性を毀損されてサイトの価値が下がるってこと?」
「送料無料とかの条件付きレビューとかは、おべっかとかばっかり」
「やっぱ、まだサクラ業者っておるんだ。レビューと実物の商品があまりにも違うのあるもんな。お米とか、食べ物とか」
「苦言ぽく書いたら削除されたわ。口コミは当てにならんよ」
「ネット通販の口コミとかレビューなんて胡散臭いものばかり。こういう業者は徹底的に排除すべきだ」
といった声が寄せられている。
インターネットでは検索の上位や口コミ評価の高い商品が消費者に選ばれる傾向が強いといわれ、これまで「ステマ」はたびたび問題視されてきた。
2012年にはグルメ情報サイト「食べログ」で、飲食店に好意的な口コミを投稿する「やらせ業者」が多数存在すると報じられ、運営会社のカカクコムがサイト内の監視を強めるなど対策強化に乗り出したことがある。
当時、総合PR会社のベクトルが実施した「ステルスマーケティングに関する意識調査」によると、インターネットの口コミ情報を見て商品やサービスの利用を決めた、もしくはやめた経験がある人は65.2%いた。一方、「(サクラの口コミについて)想像通りのことが単に明るみに出ただけと感じた」と答えた人は男性で42.9%、女性で39.3%おり、楽天の件を機にさらに不信感が広がる懸念もありそうだ。