世界の主要21都市を「住民の親切さ」や「街中での移動のしやすさ」など6要素36指標で民間団体が評価したところ、東京が1位になった。
「都市空間が人間の感性に訴える力」(都市の感性価値)を測る初めての国際調査で、ベスト10は2位ウィーン、3位シンガポール、4位トロント、5位ニューヨーク、6位コペンハーゲン、7位ベルリン、8位ストックホルム、9位香港、10位ロンドンだった。東京は「ホスピタリティー(おもてなし)」と「効率」が強みになったという。
「正確・迅速」で東京は意外にも8位
調査は森ビルの寄付で設立された一般財団法人・森記念財団都市戦略研究所(竹中平蔵所長)が行った。6要素は(1)効率(2)正確・迅速(3)安全・安心(4)多様(5)ホスピタリティー(6)新陳代謝――で、東京は「効率」と「ホスピタリティー」で首位を獲得し、総合1位の原動力になった。「効率」とは「街中での移動のしやすさ」「公共交通の駅密度」「インターネット利用率」「人口当たりの日刊新聞の発行部数」など。「ホスピタリティー」は「住民の親切さ」「街中の清潔さ」「サービス水準」「ホテルの評価」などだ。
「正確・迅速」は「地下鉄の最小運行間隔」「施設利用時の待ち時間の少なさ」などで、東京は8位(1位はコペンハーゲン)と意外にも伸び悩んだ。東京は「交通の快適さは高く評価されたが、施設利用時の待ち時間の少なさが21都市中最下位となり、マイナス要因となった」という。
「安心・安全」は「人口当たりの殺人件数」「公共の場における安心感」「精神的ストレスのない生活の実現」「人口当たりの医師数」などで東京は4位(1位はウィーン)。「殺人件数や公共の場の安心感では高評価を受けたが、ストレス、医師数などの指標が低かった」という。
「世界の都市総合力ランキング」で、は7年連続で4位
「新陳代謝」とは「GDP成長率」「上場企業増加率」「新設高層ビルの数」などで、東京は10位(1位はバンコク)。この指標では新興国が上位を占め、主要先進国でトップ10に入ったのは6位のニューヨークと東京だけだった。
調査に当たった森記念財団都市戦略研究所は、今回の「都市の感性価値」とは別に、世界の主要40都市を対象に「経済」「研究・開発」「文化・交流」「居住」「環境」「交通・アクセス」の6分野・計70指標で、「都市の総合力」を評価している。2014年の「世界の都市総合力ランキング」で、東京は2008年の調査開始以来、7年連続で4位だった。1位は3年連続でロンドン、2位はニューヨーク、3位はパリとなっており、今回のランキングとは顔ぶれが異なる。
日本政府や東京都は2020年の東京オリンピックまでにインフラ整備を進め、総合力ランクで3位に浮上する戦略を描く。ハードルは高いが、今回、「都市の感性価値」という耳慣れない指標とはいえ、曲がりなりにも東京の潜在的な魅力をアピールする格好となった。