カルビーは湿気たような食感の製品が混じっていたとして「じゃがりこ」シリーズの一部商品約14万個を回収すると発表した。健康被害はないというが、「商品が持つ本来のおいしさを損ねている」ことを回収理由にしている。
消費者の間では迅速な対応を評価する一方、「もったいない」「過剰反応」など、さまざまな反応が出ているようだ。
「いつものカリッではなくサクッとした食感」
カルビーが回収するのは、2015年2月3日、岐阜県の各務原工場で製造された「58gじゃがりこチーズ」14万個だ。不具合があったラインは特定されているが、「念のため」(同社広報担当)同日製造された商品をすべて回収する。
発端は2月末に消費者から寄せられた「湿気ているような食感だった」という問い合わせだ。調査の結果、危害性や違法性はないと判断したが、3月中旬にも問い合わせが続いたため、拡大性があるとして回収に踏み切った。問い合わせは3月18日現在で計6件だ。
同社によると、フライヤーの不具合でフライ油量が少なく、温度が低くなってしまったことがいつもの食感と違った原因だ。「しっとり、ベチャベチャではいないが、いつものカリッと感が足りず、サクッとした食感」(同社広報担当)だったという。目視して分かる違いはないが、食べ慣れている人ならすぐに気付くレベルだと説明する。
健康に影響はないにもかかわらず、「商品が持つ本来のおいしさを損ねている」ことを理由に回収したことは、さまざまな反応を集めた。ツイッターなどネットでは「まさにプロと言える見事な対応」「過剰反応しすぎじゃね?」と意見が真っ二つだ。
あくまで品質面を考慮したと説明
迅速、誠実だと対応を評価する人からは、「食感へのこだわりが素晴らしい」「こういったメーカーの姿勢が顧客の信用に繋がる」といった声が上がる。
一方で、「健康を害するわけでもないなら別に気にすることない気がするけど・・・」「日本はこういった食品について過剰反応だ」という意見も少なくない。
食品の自主回収をめぐる騒動では、同じ「虫混入」で評価が分かれた2社がある。「ペヤング」のまるか食品は当初、製造過程での混入は「考えられない」と説明し、消費者の不信感を募らせた。一方、冷凍パスタに虫が入っていた日清食品は「混入の可能性が否定できない」と素早く自主回収を打ち出し、かえって評価を高めた。
カルビーが自主回収に踏み切ったのには、こうした背景があったのか。同社広報は「『じゃがりこ』にとってもっとも重要な食感が不足し、本来の『おいしさ』を提供できなかったため」と回答し、あくまで品質面を考慮したと説明している。