西川公也農水相が献金問題で辞任した矢先に、今度は、下村博文文科相の疑惑が週刊誌に指摘された。相次ぐ報道に、安倍晋三首相の「お友達」がターゲットにされているという見方さえ出ているほどだ。
「安倍首相ショック!」「『お友達』下村博文文科大臣」。週刊文春の2015年2月26日発売号は、こんな大見出しで塾業界からの違法献金疑惑を5ページにわたって特集した。
下村氏は、文春に報じられた疑惑をすべて否定
文春の記事によると、下村氏の後援会組織としては、政治団体として届けている東京の「博友会」を含め、各地域の名前を冠した博友会が10ほどある。下村氏が塾経営をしていたことがあることから、その関係者が多かったという。記事では、「博友会」以外は、任意団体を装っているが、その実態は政治団体だったとした。
各博友会では、年1回ほど下村氏らを招いての講演会や懇親パーティをホテルで開いており、その都度2万円ほどの会費を集めていた。近畿博友会では、約200人が参加したといい、収入は400万円ほどになったという。その際の講演料は30万円以上だったとし、裏金として違法献金された可能性がある、と書いている。
さらに、各博友会は、会員から集めた年会費を下村氏が支部長をしている自民党東京都第11選挙区支部に寄付していたとした。支部が発行した領収書には、「年会費として」と明確に書かれていたケースもあったという。各博友会は事実上、下村氏に年会費を上納していた疑いがあるとしている。
そのうえで、記事では、各博友会は、政治団体として無届けに当たり、政治資金規正法違反などの疑いがあると指摘した。
これに対し、下村氏は、衆院予算委員会での答弁などで、文春に報じられた疑惑をすべて否定した。
「マスコミや野党も巻き込み、『お友達内閣』攻撃」
下村博文氏は、各博友会について、「任意団体であり、収支報告の義務はない」と説明し、講演会やパーティについては、「直接、政治資金を出してもらったり、パーティ券を買ってもらったりはない。講演料とかいわゆる車代は一切もらっていない」と強調した。
政党支部に年会費が上納されていたことも否定し、「一部有志が個人的に政党支部に寄付したり東京で開くパーティに来たりしているが、個人分は適正に収支報告している」とした。
菅義偉官房長官も会見で、下村氏からこうしたことの報告を受けたとして、「違法性はまったく問題ない」との見方を示した。
このところ、安倍政権内で閣僚の献金疑惑が続くのはなぜなのか。
政治評論家の有馬晴海さんは、こう話す。
「党内では、大臣のポストを待ち望んでいる人がたくさんいます。文春は必ずしも党内からネタを取ったわけではないと思いますが、マスコミや野党も巻き込んで、『お友達内閣』への攻撃が始まっているのだと思います。農水相の西川さんが自ら辞任したのは、今後もボロが出る恐れがあり、官邸筋も辞めてもらわないと困ると思っていたこともあるでしょう。今後は、集団的自衛権、TPP、原発再稼働などの難題が残っており、予算を通すためにも下村さんが辞める可能性はあるかもしれません。そうなると、安倍内閣がつぶれていくことはないでしょうが、確実にダメージにはなると思います」