缶コーヒーの新たなジャンルを確立しつつある「プレミアム缶コーヒー」の競争が激しくなってきた。
コンビニエンスストアなどの「カウンターコーヒー」に対抗するためもあって、ダイドードリンコやサントリー食品インターナショナル、キリンビバレッジなどが2014年に投入した新機軸がプレミアム缶コーヒーだ。いずれも、高級感や本格的な味わいを前面に押し出している。そうした中で、2015年春、この3社が相次いで新商品を投入し、競争は新たな局面を迎えた。
「世界一のバリスタ」の監修で、「ニーズに刺さるスペック」に
ダイドードリンコは、2014年8月に他社に先駆けて投入したプレミアム缶コーヒー「泡立つデミタスエスプレッソ」を進化させた「泡立つプレミアム」を、2015年3月2日に発売する。
「泡立つデミタス」は、飲む前に缶を10回以上振ってからフタを開けると、淹れたてのエスプレッソのような泡がでてくるという、ちょっと不思議で楽しい商品。
今回リニューアル発売する「泡立つプレミアム」は、2013年ワールドバリスタチャンピオンシップのチャンピオン、ピート・リカータ氏に監修してもらい、上質なコーヒーとミルクが調和した口当たりのなめらかな「プレミアム」な味わいに仕上げた。
バリスタとは、イタリア語で、客からの注文を受けてコーヒーを入れるプロのこと。同社は、「バリスタのピート・リカータ氏にはさまざまなアドバイスをもらいました。その結果、缶コーヒーの価値が高まり、またお客に満足いただける、ニーズに刺さるスペックに仕上がりました」と、胸を張る。
加えて、3月23日には「世界一のバリスタ」シリーズとして、「ダイドーブレンド微糖」と「ダイドーブレンドBLACK」をリニューアルする。
「顧客の志向が多様化するなかで、味覚のさらなる向上によって新たな顧客層を獲得していきたい。缶コーヒーはここまでおいしくできるという思いでこれからも取り組んでいきます」と、意気込みを語る。
売れる缶コーヒーのキーワードは「ブラック」と「ボトル缶」
一方、サントリー食品インターナショナルの「プレミアムボス」は2014年9月に発売。115円(税別)という通常の価格帯の缶コーヒーながら、「ブランド史上最高峰のコクが味わえる」というのが売りだ。
同社は「プレミアムボスの『プレミアム』は、その味わいにあります。ファンに缶コーヒーのよさを改めて感じてほしいからです」と話す。
「プレミアムボス」も2015年2月3日にリニューアル発売した。3月10日には「プレミアムボス ブラック」を発売して、2ラインで攻勢をかける。
「プレミアムボス」の特長である「微粉砕コーヒー豆」を絶妙にブレンドする製法を引き続き採用。今回は新たに深煎りコーヒー豆から抽出したコーヒーオイルを加えたうえ、専用の焙煎方法を開発して、豊かなコクとキレのよい苦味を両立したという。
「ブラック」の投入について、同社は「現在の缶コーヒー市場で伸びている商品のキーワードは『無糖ブラック』と、ふたを閉めて持ち歩ける『ボトル缶』。そこに着目しました」と説明する。「ブラック」の投入で、好調さに勢いをつけたい考えだ。
さらに、キリンビバレッジが15年3月31日に発売する新商品は、コーヒーの贅沢な香りと豊かなコク、エスプレッソのビターな味わいを強調した「別格 希少珈琲 with ESPRESSO」と、コーヒー本来の芳醇で豊かな焙煎香を楽しめる「別格 希少珈琲 BLACK」。2014年11月に「別格」シリーズで打ち出した「高価値・高価格市場の確立」に向けて、さらに進化させた。
缶コーヒーでは異例の200円(税別)という高価格。キリンは「近年、消費の2極化が進んでいるなか、手間を惜しまない、原料にこだわったプレミアムな商品やサービスが注目されています」と説明。ターゲットをプチリッチ層に照準を合わせた形だ。
プレミアム缶コーヒーから、しばらく目が離せない。