インターネット通販「Amazon.co.jp」(以下、アマゾン)で販売されている商品には、利用者が感想を書き込める「カスタマーレビュー」の欄がある。ここに、書籍の筆者を中傷する投稿があると出版社がツイッターで明かした。
過去にも、レビューを巡っては時折トラブルが生じている。今回アマゾンは、どのような対応をするだろうか。
違反レビューの放置そのものが「デマ拡散、侮辱につながる」
東京の出版社、影書房はツイッターで、アマゾンで取り扱われている同社の新刊本「#鶴橋安寧 アンチ・ヘイト・クロニクル」に対するカスタマーレビューの一部削除を求めていると2015年1月18日にツイートした。
筆者はフリーライターの李信恵さん。在日コリアンで、ネットニュースなどの取材記者として活動する。影書房の著者紹介によると、自身ツイッターで「ネトウヨ」から日々攻撃され、深刻なダメージを受けながらもヘイトスピーチ問題に取り組み、その活動記録を中心にまとめて本を出版した。1月21日現在、アマゾンでは「一時的在庫切れ」となっている。
影書房によると、削除要請をしたレビューは、「著者や本書に関する明らかなウソ。それら虚偽に基づく著者個人への誹謗中傷」「在日コリアンの歴史についてのデマを書き、在日コリアンが犯罪や暴力を重ねてきたかのように印象付けることを目的とした書き込み」「上記のようなデマ記載によって、在日コリアンや韓国人が日本人に対してあたかも敵愾心を抱いているかのように印象付けることを目的とした書き込み」「上記のように記しつつ、『だから日本人は在日コリアンや韓国人を差別しても許される』と差別を煽動し正当化する書き込み」の4点。これらを放置すること自体が「著者および在日コリアンに関するデマを拡散し、著者・在日コリアンを侮辱することにつながると考えます」という。
1月21日午後現在、「#鶴橋安寧」には33件のレビューが寄せられているが、評価は5段階で最高の「5」と最低の「1」にほぼ二分される極端さだ。「1」は21件あるが、コメントの中身は著者の李さんの経歴やライターとしての活動に対して根拠のない中傷、「差別の当たり屋」とまで表現したものもある。「日本に不満があれば半島に帰れば良い」という言い回しも見つかった。