10秒余りで高さ100メートルの超高層ビルが倒壊! NHKで流れた恐怖の大阪直下型地震シミュレーション

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   高さ100メートル25階建てオフィスビルが、大阪直下の上町断層帯と呼ばれる活断層による地震によって激しく揺れ、周りのビルや建物を巻き込んで倒壊する。そんなショッキングな映像がNHKで流れた。

   これはNHKが制作した精巧なCGなのだが、阪神・淡路大震災から20年ということもあり、「いつこんな地震が来るんだ?」と恐怖を覚える人が多く出ることになった。

上町断層帯で死者約4万1千人、建物被害約92万棟を予測

もし一気に倒壊したら...(画像はイメージ)
もし一気に倒壊したら...(画像はイメージ)
「地震発生から僅か10秒余り、高さ100メートルのビルが倒壊しました。想定は実在する活断層による直下型地震です」

   直下型地震を扱った「NHKスペシャル」が2015年1月18日放送された。CGは建設会社のシミュレーションをもとに制作されたもので、国の耐震基準を満たした超高層ビルでも倒壊の恐れがあることが分かった、とした。

   シミュレーションによれば、国が基準にしている揺れの3.2倍の強さの地震が来れば、ビルは3秒後に大きな揺れに襲われ、高層階が低層階の動きについてこられなくなる。13秒後にビルの1階と最上階の25階が3メートル余りずれるように変形した時点で、低層階の柱や「はり」が次々と破断し倒壊する。映像では超高層ビルが周りのビルや建物の上に横倒しになった。

「おいおい!! 超高層ビルは考えられる地震にはびくともしないって言っていた学者は大嘘付きだったのか!!」
「好きで高層ビルに住んでるのはともかくとして、付近の巻き添え事故に会う人が気の毒だよなあ」

などといった感想が掲示板などに出た。

   この地震は大阪府を南北に貫く上町断層帯による地震を想定したものだ。07年11月1日に政府・中央防災会議の専門調査会が示した中部圏・近畿圏の内陸地震発生時の被害想定では、上町断層帯でマグニチュード〈M〉7.6の地震が発生した場合、大阪府内では死者約4万1千人、負傷者約21万人、建物被害約92万棟に上る。これが実際に起きた場合のシミュレーションが番組で披露されたわけだが、NHKの取材に応じた関係者は、CGのインパクトが強すぎて説明も不十分だとして、「我々の真意が伝わりにくい」「明日にも起きるかのような内容だった」と不満を漏らす。

国の基準値の3.2倍の揺れが起こったかどうかは確認できない

   NHKの取材に協力した日本建築構造技術者協会(JSCA)によれば、地震によって倒壊しそうな超高層ビルがあり心配だというものではなく、ビルが倒壊するにはどれくらいの揺れなのかをシュミレーションしたところ、国の基準値の3.2倍の揺れになればNHKのCGのような倒壊が起こるという結論に至った、ということなのだそうだ。また、上町断層帯については数千年以上活動していないため現在は地震が起きていないし、数千年以上前の活動でも国の基準値の3.2倍の揺れが起こったかどうかは確認できないという。

   JSCA によれば、NHKが番組作りに使った調査資料は、65社の構造設計技術者たちが集まった研究会で作製したもの。07年11月に政府や大阪府が上町断層帯で地震が起こった場合の被害を想定したが、想定しただけで何の対策も取らなかったため、技術者たちが「少しでも被害を少なくしなければ」と5年前に立ち上げ、その成果の一つが国の基準値の3.2倍の揺れで倒壊するというシミュレーションだった。ちなみに阪神・淡路大震災の揺れは基準値の1.5倍にも満たなかったのではないか、と分析している。

「巨大地震がいつ来るか、建物は大丈夫か、などと心配しないようにするため備えが肝心です、というのが私たちの主張です。補強や、新しいビルを作るときに耐震強度は十分かなどに気を付けてもらいたいと思っているわけです」

とJSCAは説明している。

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