かつて視聴率トップを独走していた「おもしろい」フジテレビは、どこへ行ってしまったのか。2015年の年末年始(12月29日~1月4日)の週間平均視聴率ではゴールデン、プライムでテレビ東京を下回り、今やフジテレビの評価は「凋落」「つまらなくなった」という厳しいものに置き換わっている。
それどころか最近は「トラブルメーカー」のイメージにも染まりつつあるようだ。
「阿呆方さん」、めちゃイケ骨折、ナスカ地上絵寝そべり...
直近1年を振り返ってみても同局の「お騒がせ事案」はいくつもある。2014年に入って早々、新年の挨拶として屋外に設置した「地獄絵図」モチーフの看板がさっそくバッシングにさらされた。3月には男性社員が出向先の会社で1億円を私的流用したことが発覚した。
とりわけ大きな騒動となったのが「めちゃ×2イケてるッ!」による、元理化学研究所の小保方晴子氏の会見パロディーだった。予告動画で「阿呆方さん」などとしたコーナーを紹介したところ批判が集中し、放送見送りを余儀なくされた。
5月には同じく「めちゃイケ」のプロレス企画のリハーサル中にAKB48のメンバーが骨折するアクシデントがあった。同番組の別のコーナーでは、渡辺麻友さんに対する「顔蹴り」などの行為が問題視されBPO審理対象となった背景もあるだけに、AKBファンからの批判の声も少なくなかった。その後も「めちゃイケ」の内容が議論を呼ぶことは度々あり、ネット上では打ち切りの可能性すらささやかれた。
12月には「IPPONグランプリ」が、ゴーストライター問題の佐村河内守氏に関する放送内容でBPOの審理対象になった。15年1月に入っても、同局ディレクターが世界遺産「ナスカの地上絵」付近で寝そべるなどした行為が問題視されたり、「めざましテレビ」で放送されたイスラム教徒にムハンマドの風刺画を見せ感想を聞く様子が物議を醸したりと、「話題」には事欠いていない。
インターネット上では抗議デモまで起きた「韓流偏重」や「ほこ×たて」のやらせ問題に対する嫌悪感がいまだ根強いこともあり、フジテレビは何かと目の敵にされがちだ。だが、その影響を考慮しても「騒動」の数は目を見張るものがあり、視聴者やネット民からは何かあるたびに「またフジか...」というため息が漏れる。
土田晃之「あそこがジャイアンツみたいになって」
一方で芸能界からは、フジの復活を願う声も出てきている。お笑い芸人の千原ジュニアさんは1月3日にNHKで放送された「新春テレビ放談」でフジテレビについて語った。テレビの今後について語り合う中で千原さんはフリップに「きっかけはフジテレビ」と書き、
「ぼくは今回まじめに芸人として『きっかけはフジテレビ』(と言いたい)です。本当にこれに尽きると思います。フジテレビが元気ないと本当にダメです。何も怖がらず、ホンマにフルスイングしていただいて...」
と期待を込めた。これにはタレントのYOUさんも「そうだね~、そうなったらいいんだけどねぇ」と同意。放送作家の福田雄一さんは「テレ朝の編成のまぁ偉い人が『フジテレビ元気になんねぇかな』って言ってましたね(笑)。やっぱりリーディングカンパニーとしていてほしいっていうのはあるみたいですよ」という裏話を明かした。
同番組にも出演していたお笑い芸人の土田晃之さんは11日放送のラジオ番組「土田晃之 日曜のへそ」(日本テレビ系)の中で千原さんの発言などに言及。「僕ら世代は、特にフジテレビのバラエティを観て育った」と言い、
「ダウンタウンさんだって、ウンナンさんだって、とんねるずさんだって、あの人たちが24歳で売れたって言ってるのは、全部、フジテレビなんですよね。ゴールデンで自分たちの冠番組を持ったってことだし。たけしさんだって、さんまさんだって、『オレたちひょうきん族』だし。タモリさんだって、『笑っていいとも!』だし...」
などと、ベテラン芸人たちがフジテレビから育った背景を語った。その上で、
「そういう意味で(フジテレビに)頑張ってもらって...あそこが強いジャイアンツみたいになって、他が頑張って切磋琢磨するって構図がやっぱり一番面白いって思いますけどね。今年、頑張ってもらいたいですけれども」
とフジテレビにエールを送った。