スマホで国宝をリアルに鑑賞 文化庁「文化財オンライン構想」が進む

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   文化庁は全国の博物館や美術館などが所蔵する国宝や重要文化財のほか、国指定文化財(史跡名勝天然記念物、歴史的建造物、無形文化財など)をデシタル高精細画像や動画で国内外に紹介する「文化遺産オンライン構想」の整備を進めている。

   既に東京、京都、奈良、九州の国立博物館4館が所蔵するすべての国宝(130件)と重要文化財(952件)を収めた「e国宝」(http://www.emuseum.jp/)を完成させており、文化庁はスマートフォンなどで気軽に検索できるシステムの構築を目指している。

2019年度の完成を目指す

こんな格好で国宝が見られる(画像はイメージ)
こんな格好で国宝が見られる(画像はイメージ)

   国宝などの文化財をデシタル高精細画像でアーカイブ化するメリットは、文化財保護のため常時展示できない優れた作品を24時間、いつでも居ながらにして楽しめるだけでなく、高精細な画像を自由に拡大し、細かな部分まで作品を鑑賞できる点にある。文化庁は2003年度から計画的に国立博物館4館の国宝と重要文化財のアーカイブ化を進め、2009年度に完了。現在はiPhoneやiPadのほか、Android対応のスマホでも閲覧できるようになった。

   文化遺産オンラインは、国立博物館4館に限らず、全国の博物館や美術館の所蔵品をデシタル高精細画像でアーカイブ化しようという壮大なプロジェクトで、2019年度の完成を目指している。最終目標は全国の総合・郷土・美術・歴史系博物館の3500館を網羅すること。このうち1094館に対して、全所蔵品データの情報提供を求めており、東京五輪が開催される2020年までに掲載を完了し、海外にも情報発進することを目指している。

現段階の情報提供館は145館にとどまっている

   ところが、「博物館の人員と画像デジタル化経費の不足から、所蔵品の撮影や画像著作権許諾が進まない状況にあり、現段階の情報提供館は145館にとどまっている」(文化庁)という。文化庁は日本を訪れる外国人観光客向けに外国語のサイトや旅行者がスマートフォンで気軽に検索できるシステムの開発を目指している。

   実際にサービスを行っている「e国宝」の使い勝手はどうか? 京都市の名刹、建仁寺が所蔵する桃山時代終わりから江戸時代初期に活躍した俵屋宗達の国宝「風神雷神図屏風」を検索してみた。この作品は現在、京都国立博物館に寄託されているため、建仁時を訪れてもレプリカしか鑑賞できない。ならばデジタル高精細画像で鑑賞しようと、e国宝で検索してみたが、ヒットしたのは尾形光琳(1658~1716年)が俵屋宗達の作品を模写したとされる重要文化財「風神雷神図」だった。

   俵屋宗達の原画は京都国立博物館に寄託されているだけで、所有者はあくまで建仁寺なので、「4つの国立博物館が所蔵する国宝・重要文化財」というサイトのコンセプトに合致しないということなのか。ちなみに、同じ俵屋宗達の国宝「蓮池水禽図」(京都国立博物館所蔵)は掲載されている。

   文化庁は文化遺産オンライン構想推進のため、2015年度政府予算に1億3700万円を要求している。国家予算でアーカイブ化を進める以上、国民目線で使い勝手の向上に努め、親しまれるサイトにしてほしい。

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