フジテレビのバラエティ特別番組「芸能界特技王決定戦TEPPEN」で、芸能人ピアノ対決は、人気コーナーの1つだ。そこに出場したアイドルグループ「HKT48」の森保まどかさん(17)が、圧倒的な演奏を見せたのに3位に終わったとして、ネット上でブーイングの声が上がっている。
2015年1月4日夜に生放送された番組では、ピアノ対決に芸能界から6人が出場し、3人の審査員が100点満点で採点した。
加藤綾子アナ「もの凄い人が現れました!」
森保まどかさんは、4番目に登場し、84点で暫定1位となった青木さやかさん(41)と対峙してピアノの前に座った。番組ではまず、主に日本人が出場している「ヨーロッパ国際ピアノコンクール・イン・ジャパン」の中学生部門で9位に入るなどの入賞経験があることが紹介された。
勝負曲として、森保さんは、久保田早紀さんの大ヒット曲「異邦人」(1979年)を選んだ。演奏が始まると、表情豊かでダイナミックなピアノを披露し、終わるとスタジオから大歓声が上がった。司会のネプチューンのメンバーが総立ちになり、加藤綾子アナは「もの凄い人が現れました!」と森保さんを讃えた。
ゲストらからも、「もう勝ったんじゃないですか」「優勝だよね~」と声が上がり、暫定1位の青木さんも思わず苦笑していたほどだ。審査委員長で作曲家の服部克久さんは、「とっても粒立ちがよかったね。メロディーを弾くところと伴奏とのバランスがすごいよかった」と絶賛した。結果は91点と表示され、この時点で暫定1位に立った。
今度は、前々回に森保さんを破ったAKB48の松井咲子さん(24)が森保さんと対峙し、映画「アナと雪の女王」の楽曲「レット・イット・ゴー」を弾いた。審査員で音楽家の秦万里子さんからは、「1つの曲という感じに流れると、もっといいかな」と指摘されたものの、94点で森保さんの点数を上回ってしまった。これには、松井さんも「まどかちゃんの演奏を裏で聞いていて、本当に素晴らしかったので、正直ちょっともう気持ちの面で負けそうになってたんですけど」と驚いていた。
フジテレビ「やらせや出来レースはない」
しかし、今回は結局、前回に松井咲子さんを僅差で破ったお笑い芸人のさゆりさん(45)が逃げ切った。演奏は、過去最高難度という人気アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のオープニング曲「残酷な天使のテーゼ」に挑み、95点という高得点を叩き出した。
これに対し、音楽プロデューサーの福田裕彦さんがツイッターで異議を唱えた。HKT48の森保まどかさんの演奏を「凄く上手」と絶賛し、「森保って子のピアノは、もちろん問題はいろいろあるけど、それでも、リズム、タッチ、表現力が、ほかの子達のピアノとはまるで格が違ってました」と指摘した。森保さんが91点だとすると、後の2人は、個人的に採点すれば83点と80点ほどだというのだ。
そのうえで、福田さんは、「ああいう番組を、ピアノをやっている小さいお子さんとかが見て、『ピアノって早い運指ができるのがすごいんだ!』と思い込んでしまったりするのはエンタメとは言え、罪が重い」と断じている。
このツイート内容が一部で報じられ、フジテレビは「やらせ」や「出来レース」をしていたのではとの指摘が出た。何度も優勝争いで沸かした松井さんとさゆりさんのライバル対決を盛り上げるための点数のかさ上げだったのではないかというのだ。
フジテレビの広報部では、取材に対し、「ご質問にありますようなやらせや出来レースといった事実は一切ございません」とこの疑惑を否定した。ピアノ対決の採点基準については、アレンジの仕方による難易度、気持ちを込めて弾けているかなどの表現力、ミスタッチがないかなどの正確性、といった点から総合的に審査していると説明した。
ただ、今回の件について、視聴者からの問い合わせは、十数件来ているという。