泣きっ面に蜂とはこのことだろうか――。2014年夏に消費期限切れの鶏肉を使っていたことが判明して一時販売を中止していたマクドナルドの「チキンマックナゲット」に、今度はビニール片のようなものが混入していた。
チキンナゲットに異物の混入が確認された店舗は、青森県三沢市(三沢店)と東京都江東区(東陽町駅前店)での2件。異物混入の経緯などの詳細については「現在、調査中」(日本マクドナルド・ホールディングス)だが、ナゲットは現在も全国の店舗で販売している。
タイの工場で製造のチキンナゲット
日本マクドナルドHDは、青森県三沢市の三沢店で販売した「チキンマックナゲット」の1個に異物が入っていた事例が1件あったことを、2015年1月5日に明らかにした。異物は、ビニール片のようなものという。
同社によると、1月3日22時半過ぎに「チキンマックナゲット」(5個入り)を3パック購入した男性が、約1時間後、異物が混ざっているとして、そのうちの1個のナゲットを持参して再び来店。店では男性に謝罪、返金するなど対応した。
中国での消費期限切れの鶏肉使用問題以降、チキンナゲットはタイにある3か所の工場で1次加工して、国内の店舗では冷凍のものを油で揚げて提供している。そのため、ほかの商品にも異物が混入しているおそれがあるとして、異物の混入が確認された商品と同じ日に同じ工場でつくられたチキンナゲットについて、全国の店舗で販売を中止することにした。
ところが、異物が混入していたチキンナゲットと同じ工場で同じ日に製造していた製品はおよそ19万食で、そのうちの99%はすでに14都府県で販売されてしまっていた。回収できたのは、わずか1%だ。
さらには、東京・江東区の東陽町駅前店でも14年12月31日、店内でチキンナゲットを買って、食べていたお客から「ビニール片のような異物が入っていた」という申し出があったことが後日発覚。これは、「5日の三沢店の報道を見たお客様が、お客様サービス室のほうにお電話で知らせてくれました」(日本マクドナルドHD)という。
異物は三沢店で混入していたものとは別モノとみられるが、ナゲットの中に混入していたものか、付着していたものかはわかっていない。
失態はまだある。東陽町駅前店では、店員がお客から預かった異物(5ミリほどのビニール片)を、持ち運んでいる途中に誤って紛失してしまった。しかも、申し出のあったお客から調査依頼がなかったため、チキンナゲットに異物が混入していたかもしれないことを店長などに報告していなかったというのだ。
「一時的に止めるだけで印象全然違うのに馬鹿だよねぇ」
日本マクドナルドの対応がこれほどまでに注目されるのは、「チキンマックナゲット」が人気メニューということだけではない。つい1か月前に、「ペヤング ソースやきそば」を販売する、まるか食品が「ペヤング ハーフ&ハーフ激辛やきそば」に虫のような異物が混入していた問題で、初動を誤ったために今なお販売中止のままになっていることがあるからだ。
それでなくとも、日本マクドナルドは2014年夏の中国の消費期限切れの鶏肉使用問題をきっかけに売り上げが大きく落ち込んでいて、14年11月まで5か月連続で2桁のマイナスとなっている。もう、いま以上のイメージダウンは避けたいところだ。
とはいえ、次々に明るみになってきた日本マクドナルドの不手際にインターネットでは、
「ふつう、異物混入の原因が不明だから販売を停止するのにね」
「ほんと、誠意がないよね」
「中国からタイに切り替えて食の安心・安全をアピールしたのに、この初動対応って??? なさけなくなる」
「ホントはめずらしくないんじゃね。これって」
「一時的に止めるだけで印象全然違うのに馬鹿だよねぇ」
などといった、批判的な声が寄せられている。
日本マクドナルドは、2015年1月3日の三沢店については「現在、検査機関で異物の成分分析などを行っているところで、その後、混入の経緯なども明らかにしていきます」としているが、年末の東陽町駅前店のケースには、「お客さまから預かった異物の紛失といい、報告の遅れといい、対応を間違えたことについては申し訳ありません。今後はこうした案件の報告を周知徹底するよう努めていきます」と話している。