理化学研究所による検証実験で作成できなかったSTAP細胞をめぐって、ある陰謀論がこの数日ネット上で拡散されている。
iPS細胞サイドの何者かがSTAP細胞を「封印」しようとした、という荒唐無稽なものなのだが、2014年12月22日現在すでに1万6000件を超える「いいね!」がクリックされ、「STAPは間違いなく存在します」などと一部の人に受け入れられている。
「私もSTAP細胞はあると思います!」と賛同の声
陰謀論は一般男性とみられるアカウントから12月19日に投稿されたもので、
「小保方さんが『STAP細胞』が作れなくて理研を追いだされる段取りとなっているようですが、ノーベル賞=ロスチャイルドの利権である『iPS細胞』を優先させ、だれでも簡単に作成できて安価で病気が治りまくる『STAP細胞』を封印する段取りのような気がしますね...」
という内容だ。
「『STAP細胞』で簡単に病気が治っちゃったら、毎年38兆円以上も税金からボッタクってる病院、医者たちが食いっぱぐれちゃいますもんねw」
「税収が約46兆円なのに『医療費だけで38兆円以上』って異常で巨額の利権構造...そもそも、あんな大々的に『STAP細胞』の嘘をつく必要性も感じませんし、嘘をついても即バレするなんてこと誰でも容易に想像できますし、理研にいけるような頭のいい人が、そんなマヌケなことするでしょうか?w」
など、推測や根拠不明の記述が並ぶ。医療費38兆円がすべて税負担分かのように書かれ、事実と異なる部分もある。
およそ事実とは認めがたい、でたらめな陰謀論だが、フェイスブックを中心にネット上ではかなり浸透しているようだ。すでに「いいね!」は1万6000件以上つき、「激しく同感」「私もSTAP細胞はあると思います!」「シェアします!」などと賛同のコメントが並んでいる。
バイラルメディア「netgeek(ネットギーク)」が記事に取り上げ、「もしかすると小保方さんは利権団体に脅されているのではないだろうか」などと書いたことで、一部の人にはさらに拡散している。
小保方氏の発言が陰謀論の原因?
とはいえ、荒唐無稽な内容に、
「こういう陰謀説、みんな大好きだねー。ありえねぇよ」
「あんな内容がスッカスカのノートありえない。 それがわからずSTAP細胞は陰謀によって阻止されたって言うのは科学技術をバカにしているとしか思えない」
「こんな陰謀論シェアするの恥ずかしくないんかな」
など、冷めた見方も少なくない。
実はこれまでもSTAP細胞をめぐる陰謀論は、ネット上でたびたび流布されてきた。STAP細胞の実験は成功しているが、大手製薬会社など巨大利権を持つ組織によってその存在が消されていた、といった内容が中心で、もちろん根拠のないものばかりだ。
こうした陰謀論が出回る背景には、小保方氏自身の発言があるようだ。STAP細胞に疑惑が持ち上がり始めたころ、週刊新潮(4月10日号)の取材に小保方氏は「大きな流れに潰されそう」「大きな力がはたらいていることは間違いない」と意味深に発言。これが今なお盛り上がる陰謀論に影響したようで、しばしば引用されている。