不起訴はどんなケースが考えられるのか
強姦の容疑がかけられながら、不起訴処分となったことに疑問を持つ人は多い。処分の理由はどういうものが考えられるだろうか。
板倉宏・日本大学名誉教授(刑法)は、強姦が疑われながら、検察が不起訴と判断することは、「まれにありうること」と語る。それは「嫌疑が不十分な場合」と「示談が成立している場合」の2つのケースが考えられるという。
嫌疑が不十分な場合とは、「元々、女性との間で性交渉の合意があったなどした場合」(板倉教授)が考えられ、そもそも強姦罪が適用されないケースだ。また、被害者との示談がすでに成立している場合、板倉教授は「性犯罪の場合、法廷に出ることで、事件がオープンになることを被害者側が嫌がることがあります」という。こうしたケースで、検察が起訴を見送ることが考えられるそうだ。
ただ、今回の事件では福岡検察が処分理由を明らかにしていない以上、合意があったのか、示談が成立しているのかは、推測の域を出ない。これまで強姦容疑がかけられた事件が不起訴となった場合、検察が処分理由を発表したことはほとんどない。