スカートは「寒い」「目線が気になる」 男女制服交換で男子が感じたこと

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   男女の性差について見つめ直してみようと、山梨県富士吉田市の県立富士北陵高校が男女で制服交換して授業を行ったことが報じられ、論議になっている。

   男子生徒は、スカートをはき、脇を持って広げてみたりする。女子生徒は、だぶだぶのズボンをはいたりしていた。

女子からは、「ズボンは楽」「スタイルがいい」

   富士北陵高校が2014年11月11日に行った制服交換の学校行事は、日テレなど全国ネットのテレビでも報じられた。

   この行事は、「セクスチェンジ・デー」と名付けられ、建築デザインを学ぶ2、3年生が発案したそうだ。報道などによると、事前のアンケートで希望を募り、全校の4割に当たる299人が参加した。内訳は、男子117人、女子182人で、交換できない生徒は、OBから寄付を受けるなどして行った模様だ。

   生徒らは、ジャージ姿で登校した後、体育館でサイズの合う異性の制服に着替え、授業を受けるなどした。報道では、女子からは、「ズボンは楽」「スタイルがいい」との声が出た一方、男子からは、「スカートは寒い」「目線が気になる」と戸惑いもあった。

   ツイッターを見ると、制服交換については、学校の違う女子生徒同士や恋人関係にある男女らの間では、ある程度行われている。しかし、恋人でもない男女の間で、それも大人数で行われるのは異例のことのようだ。

   このニュースに対し、ネット上では、賛否が分かれている。

   趣旨に共感する声としては、「互いの見えない部分に気付かせる良さがある」「素晴らしい試み」「生徒が自分たちで考えて実現までさせたのがすごい」といった書き込みがあった。一方で、「あの人の制服なんて着たくない!的なことが起きてそう」「女装に目覚める男子が居たらどうすんだ」「これはあかんやろ」などと懸念する声も相次いでいる。

高校の教頭「私からのコメントはありません」

   富士北陵高校の生徒らは、なぜこれだけ論議のある行事を考えたのだろうか。

   そもそもこの行事は、東北芸術工科大が主催する全国高校デザイン選手権大会(通称デザセン)の2013年大会で提案されたアイデアだった。2、3人でチームを組んで参加することになっており、富士北陵高校のチームはこの年に優勝していた。

   そのプレゼン動画を見ると、生徒らは、同性愛や性同一性障害といったことが社会的になかなか取り上げられない現状を考えて「セクスチェンジ・デー」を思い付いた。高校では、担任や学年主任は内諾したものの、教頭が「身体の一部である制服を異性に貸し出すのは、強い抵抗を感じる」と反対した。しかし、生徒らの説得を受けて教頭も行事に同意したという。

   生徒らはプレゼンで、「男らしさ」「女らしさ」のように多くの当たり前がある中で、高校生は思考停止しており、今求められているのは、そうした当たり前から解き放たれることだと説明していた。事前に生徒100人にアンケートしたところ、92%が制服交換に参加してもよいと答え、学校行事なら参加しやすいとの声が多かったという。衛生面の問題は、制服のほつれを直し、クリーニングすることで解決したとしている。

   しかし、制服を着たり渡したりしたくない場合はどうするのか、交換がなかなかできなくてつらい思いをする生徒はいないのか、といったことへの対応は分からないままだった。

   富士北陵高校の教頭は、取材に対し、行事は生徒の課題研究によるものだとしたうえで、「別の教諭が担当しており、私からはコメントすることはありません」と答えた。山梨県教委の高校教育課でも、ネット上で論議になっていることについて、「学校が自主的にやっていることですので、県教委として何か言うことはないです」と言うに留まった。

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