理化学研究所の小保方晴子氏は現在、STAP細胞の再現実験に取り組んでいる。期限は11月末に迫っているが、今のところ成果が上がったとの報告はない。
論文の不正問題以降、世間の厳しい批判を浴びてきた小保方氏だが、少し奇妙な現象が起きている。グーグルで語句を検索すると、関連ワードを予測して自動的に表示する「サジェスト機能」が働くが、小保方氏に関してはネガティブな語句が一切出てこないのだ。
「佐村河内守」と入力すると「ゴーストライター」が表示された
「小保方晴子 彼氏」。
「小保方晴子 かわいい」。
「小保方晴子 家族」。
グーグル検索で「小保方晴子」と入力すると、表示される言葉だ。これらの事柄に関心を持つ人はゼロではないだろうが、小保方氏が非難されてきた問題から頭に浮かぶのはもっと別の語句のはずだ。
何よりも「STAP細胞」が関連ワードとして出てこないのが不自然だ。ほかにも、STAP論文で理研に指摘された「ねつ造」「改ざん」といった語句や、博士論文で他所からの無断転載を疑われたことから「コピペ」という表現も、予測変換として表示されてもおかしくはなさそうだ。ところが、本人にとってマイナスイメージとなる関連ワードは全く登場しないため、インターネット掲示板ではちょっとした話題になった。
「お騒がせ有名人」で同じように検索してみた。不倫騒動で1年間活動を休止後、テレビ番組で復帰する予定のタレントの矢口真里さんの場合、グーグルの予測変換では「離婚」という語句や、前夫の実名が出てくる。聴覚障害を持ちながら交響曲を発表し、一躍「時の人」となったものの実は別人の曲を自作と称していたことが明るみにでた佐村河内守氏は、「ゴーストライター」の文字が並列されていた。サジェスト機能で出てくる関連ワードの一部は、こうした本人にとってネガティブな印象をぬぐえない内容だった。
グーグル以外の検索サービスでは、小保方氏の場合も結果が違った。ヤフーの検索窓に「小保方晴子」と入力すると、予測ワードの中に「再現実験」が出てくる。STAP細胞との関連をにおわせるものだ。またMSNに採用されている検索エンジン「bing」では、グーグルにはなかった「ねつ造」が表示された。
「違法だと考えられる語句」の削除申請が可能
他の検索エンジンではマイナスイメージの語句が自動的に出てくるのに、グーグルでは排除されている。グーグル側が削除を要請された可能性はないか。実はネット上には、サジェスト機能で表示される語句の削除を申請したことがあるとの体験談が複数掲載されていた。
グーグルには「法的な削除リクエスト」を受け付けるページがある。グーグルが提供する各種サービスの中から「ウェブ検索」を選んで先に進むと、「関連検索キーワードに関する問題があります」という項目が選択できるようになっている。そのうえで、申請者の氏名やメールアドレス、検索した語句と検索時に表示される違法だと考えられる検索補助語句、スクリーンショットの画像など、必要な情報を入力、添付したうえで送信する。
手続き自体はそれほど複雑ではないが、グーグル側の審査に多少時間がかかるようだ。それでも、実際に申し立てが認められたケースがネット上には報告されていた。企業や自営業者の場合、「中傷ワード」が予測変換で表示され続ければ営業上の悪影響が避けられないため、削除申請は有効だろう。
過去の小保方氏の検索時におけるサジェストの記録がないので断定はできないが、小保方氏側がグーグルに向けて、「ねつ造」「コピペ」といった語句が自動的に出てこないように削除リクエストを送信し、対処してもらったのかもしれない。