「実は、もう何年も稿料が支払われていないのです」――。芥川賞作家の柳美里さん(46)が月刊誌「創」で連載しているエッセイの休載理由を自身のブログで明かした。
篠田博之編集長とやりとりしたメールの一部内容も公開し、読者に休載理由を説明すべきだと訴えた。
「稿料を支払うことは、筆者の『力になる』ことではない」
柳さんは2014年10月15日、「『創』休載の理由」と題したブログ記事を公開した。11月号での休載について編集後記に何の説明もなく、このままでは柳さん側の事情で原稿が間に合わなかったと誤解されると考えたためだという。
休載の原因は原稿料の未払いだった。柳さんの連載は2007年にスタートしたが、「もう何年も稿料が支払われていない」そうだ。そのため柳さんは9月、これまでの未払い分が全額振り込まれるまで次の原稿は書かないとの旨を篠田博之編集長にメールで伝えた。すると篠田編集長からは、
「返信が遅くなって申し訳ありません。ショッキングなメールでしたので、考える時間が必要でした。おっしゃること、もっともだと思います。何とかしようとは思っているのですが、大変な時期に力になれずにいて申し訳ありません」
との返事があったという。10月には再び編集長から下記のメールも届いたそうだ。
「弊社から『黒子のバスケ』脅迫犯の手記がようやく発売になり、これが売れるとある程度入金もあると思いますので、可能になり次第、原稿料を振り込んでいきます」
柳さんは「篠田さん、筆者に稿料を支払うことは、筆者の『力になる』ことではありません。労働の対価を支払うことです」「もし、手記が売れなかったら、原稿料は支払われないのでしょうか?」などとブログ上で反論し、未払い分がどのくらいあり、いつまでにいくら支払うのかを明らかにするよう訴えた。最後には「篠田さん、読者には、編集長として休載(あるいは、連載終了)の理由を説明すべきだと思います。おかしいですか?」と投げかけた。
柳さんは8月のブログで「我が家は常時貯金ゼロ、借金ン千万円の状態なので、原稿料をもらえない仕事は、現実的に無理です。できません」とも書いていた。