学生らによるデモ活動で香港中心部の占拠が続くなか、香港出身のアグネス・チャンさん(59)のテレビ番組での発言が話題を呼んでいる。番組の中で、台湾出身で後に日本国籍を取得した評論家の金美齢さん(80)が、香港では民意が適切に反映される仕組みになっていないと主張する半面、アグネスさんは総じて現行の「一国二制度」がうまく機能しているなどと反論した。
アグネスさんの発言を「中国より」と受け止めた視聴者が多かったようだが、アグネスさんが国籍を聞かれて「香港のイギリス国籍」だと答えたことについては驚いた人もいたようだ。
海外に避難した人も返還後は香港に戻ってきた
番組は、2014年10月12日にフジテレビ系で放送された「新報道2001」。金さんとアグネスさんは、1997年に香港が中国に返還される直前、環境の変化を恐れて海外に避難する香港住民が相次いだという点では意見が一致した。ただ、アグネスさんは返還を機に選挙制度が充実したとして、海外に避難した人は香港に「戻ってきた」と主張した。
「この一国両制度(編注:一国二制度)で、ようやく私たちは民主主義を、植民地のときに経験できなかったことを経験することになって...。沢山の人が戻ってきました。うちの家族も、みんな戻ってきたんです」
これに対して、金さんは
「ただしね、全部外国の国籍を取ってから戻ったの。全部ね。カナダだとかイギリスだとかオーストラリアの国籍を取ってから、また香港に」
と、香港に戻ってきた人は「保険」をかけた上でのことだと主張した。
番組では触れられていないが、アグネスさんの長男はカナダ、二男は米国、三男は香港で生まれている。夫の日本国籍とあわせると、国籍について数種類の選択肢があったことになる。