ホテルの客室にテレビを設置しているにもかかわらず受信料を支払っていないとしてNHKが都内のホテル運営会社に起こしていた訴訟の判決が2014年10月9日、東京地裁(佐久間健吉裁判長)であった。
一般の家庭であれば、ひとつの建物にいくつテレビがあっても受信料は変わらないが、住居以外は原則として部屋ごとに契約が必要だ。ホテルは数百~千程度の部屋を備えていることも多く、判決で支払いを命じられた金額も、全体としてみれば高額だ。
敷地内のテレビをまとめて契約すると2台目から半額になる
「受信料を支払っていない」ケースは、大きく2つに分けられる。受信契約を結んでいるにもかかわらず受信料を支払わないケースと、そもそも受信契約を結ばないケースだ。放送法の第64条には、
「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」
とある。NHKはこの条文を根拠に受信契約を求めている。今回の判決は、後者にあたる。
NHKが訴えていたのは3つのホテルを運営している会社で、約280部屋分の受信料を支払うように求めていた。判決では、契約に応じない事業者についても「裁判所の判決をもって放送受信契約が成立する」として、13年8月から14年5月までの受信料約621万円を支払うように命じた。月額に換算すると、1部屋あたり約2200円だ。
NHKがウェブサイトで公表している「よくある質問集」によると、事業所の設置場所の単位は「原則として部屋ごと」で、「ホテルなどでは、テレビのある部屋ごとに受信契約をいただくことになります」と明記されている。ただし、同一敷地内にある全部のテレビに受信契約を結ぶと、2契約目から半額になる制度もある。この割引が適用された場合、2契約目以降のテレビにかかる受信料はBS込みで1年分を前払いした場合で19932円。単純に月額換算すると1661円だ。