いわゆる従軍慰安婦をめぐる「吉田証言」や、東京電力福島第1原発事故の「吉田調書」をめぐる朝日新聞への逆風が続くなか、次の焦点になりそうなのが販売への影響だ。末端の販売店は購読者をつなぎとめようと必死だ。
お詫びの品として読者にタオルを持参し、謝罪文を配ったりしている販売店もあるようだ。
朝日は消費増税でも部数は「微減」にとどまっていた
日本ABC協会がまとめた14年上期(1~6月)の朝日新聞の平均部数は前年同期比2.3%減の743万3577部。消費増税を経ても微減にとどまっているといえる。朝日新聞が誤報を認めた「吉田調書」に関する初報が載ったのが5月20日で、慰安婦問題で批判を再燃させるきっかけになった検証記事が掲載されたのが8月5日だ。
9月11日に木村伊量(ただかず)社長らが開いた会見では、一連の問題が販売に与えた影響について問う質問が出たが、朝日新聞側は
「具体的なところで『どれくらい』といったことは、この場で申し上げるようなことではないので、ご容赦いただきたい」
などと回答を避けた。一連の問題が部数に影響するとすれば、下期の統計に反映されることになる。
上期の部数のうち、販売店経由が739万2591部。部数全体の99.5%を占めており、朝日新聞からすれば、販売店経由で定期購読している人の解約を思いとどまってもらうのが至上命題だ。
販売店も、様々な対策を試みてはいるようだ。例えば埼玉県東部のある世帯では、8月末に販売店員の訪問を受けた。スーパー銭湯の無料券や地元商店の割引券を手みやげに、購読継続を頼んだという。木村社長が会見する1週間も前のことだ。