富士山や桜島は大丈夫か 御嶽山「突然の爆発」で心配になる

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   岐阜・長野県境の御嶽山で2014年9月27日に発生した噴火で、山頂付近の山小屋や避難所に取り残された登山者らを救出するため、28日朝から警察や自衛隊の活動が本格化した。

   紅葉シーズンでにぎわう「日本第2の高峰」を襲った惨劇――ほとんど前兆がなかっただけに、突然の異変に驚きの声が広がっている。富士山や桜島は大丈夫なのか。

「恐怖の瞬間」の証言が次々と

桜島の噴火警戒レベルは3(入山規制)に設定されている
桜島の噴火警戒レベルは3(入山規制)に設定されている
「生きて帰れたのが不思議」「一時は死を覚悟した」「泣きながら子供たちにメールで遺書を送った」

   噴火に巻き込まれながらもなんとか自力で下山することができた登山者たちは、朝日新聞などマスコミの取材に「恐怖の瞬間」を語った。

   突然、噴煙の雲が立ち上がり、地面を這いながら猛スピードで登山者に襲い掛かる。轟音と共にボウリングの球ほどもある噴石も降ってきた。晴れ渡っていた青空があっというまに真っ暗になり視界ゼロ、もう身動きができない。強烈な硫黄の臭い。岩陰に身をひそめるが、背中を熱風がとおりすぎ、やけどしそうだ。

   山小屋や避難所には、噴石の直撃を受けたのか、頭から血を流している人が何人も横たわっている。声を掛けても応答がない人もいる。噴火のたびに山荘がメキメキときしみ、小屋の中にも容赦なく熱風と灰が押し寄せてきて息をするのがやっとだった。

   1時間ほどでようやく明るくなってきたが、目の前には雪でも降ったかのように膝の高さまで火山灰が積もっている。雨と火山灰が混じり、ぬかるみになった登山道に足を取られながら必死に歩き続けた――。

   助かった登山者たちの貴重な証言や、手持ちのカメラやスマホなどで撮影され、ネットに公開された映像からは、今回の爆発の不意討ちぶりとその怖さがストレートに伝わってくる。

   二次災害の恐れがあることから見合わせていた救助活動は、28日朝からようやく本格化。10時30半頃には自衛隊ヘリが山頂付近の登山道で少なくとも3人を救助したほか、地上から派遣された部隊も山頂付近の山小屋に到達した。負傷者数や重傷者数、山頂付近で連絡が取れない人がどれくらいいるかなどは、情報が錯そうしており、長野県によると28日昼段階で45人と連絡が取れない状態。安否の確認を進めている。

水蒸気爆発は予知が難しい

   日本には110の活火山があり、47を常時監視している。しかし、そのうち08年3月から「噴火警戒レベル」を定めて手厚く監視しているのは 30。さらに、周辺自治体の避難計画が完備しているのは7つにすぎない。

   富士山も桜島も御嶽山も、比較的手厚く監視されている火山の一つで、噴火警戒レベルが運用されていた。しかしながら今回、御嶽山は、半月前からの地震活動が活発になっていることは把握していたものの、ほかに噴火の前兆はなく、噴火警戒レベルは「レベル1(平常)」にとどまっていた。爆発後に「レベル3(入山規制)」に引きあげられた。なぜもう少し踏み込んだ予知ができなかったのか。

   実は火山の爆発にはマグマ爆発と水蒸気爆発がある。マグマ爆発は地震や隆起の前兆があり、大きな動きなのでとらえやすい。半面、水蒸気爆発は、マグマの熱で付近の地下水が気化し、大量の水蒸気が発生して急激に圧力が高まって起きる。今回はその水蒸気爆発が起こったとみられ、爆発の威力としてはさほどではないが、予知は難しかったとみられる。

   そうなると、いかに監視していても水蒸気爆発への対応は難しいということなのか。常時監視の47火山には「日本百名山」に入り、登山者に人気の山が少なくない。今回の御嶽山のように途中までバスなどで行けるので、素人でも簡単に上れる山もある。

   御嶽山を含めても、現時点で警戒レベルが「レベル2(火口周辺規制)」以上なのは、活発な活動が続く桜島(レベル3)や、阿蘇山(レベル2)など8つのみ。活火山である限り、警戒レベルが低くても安心できず、今後も登山者が突然の噴火に巻き込まれるリスクは常にあるのかもしれない。

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