ニュースアプリ「グノシー」赤字13億9300万円 強気の拡大戦略、成功と失敗の分岐点にある

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   スマートフォンにひとつのアプリを入れておけば、新聞や雑誌をはじめインターネット上で配信されているニュースがまとめて読める。こうした「ニュースアプリ」が続々と誕生し、利用者を増やしている。

   中でも「グノシー」は、大々的にテレビCMを流して知名度を上げ、拡大路線をひた走る。ただ「ネットでニュース配信」は新しいビジネスモデルとは言えないだけに、「次の一手が欲しい」と専門家は指摘する。

販管費16億2980万円と目立って多い

1つのアプリにニュースがまとまっているのは便利
1つのアプリにニュースがまとまっているのは便利

   当期純損失13億9300万円と、巨額の「赤字決算」を発表したグノシー。2014年8月29日の官報に掲載された、同社第2期(2013年6月1日~14年5月31日)の決算公告で確認できる。さらに、売上高が3億5900万円なのに対して、販管費が16億2980万円と目立って多い。

   グノシーは2012年11月創業で、ダウンロード数は14年6月時点で約400万件と、ニュースアプリの代表格だ。14年3月にはKDDIと業務提携を発表して資金提供を受け、6月にはさらに12億円の出資を得た。

   KDDIとの提携のタイミングで「ニュースアプリ初」というテレビCMの放送をスタート。グノシー共同最高経営責任者(CEO)の木村新司氏は、4月28日付の日経MJのインタビューでCM開始の意図について「ユーザー数を飛躍的に拡大する時期に入った。3月からサービスを、より一般的なものに方向転換した」と説明している。また木村氏は、「10億円以上とされる増資分」の「8割以上を広告宣伝費につぎこんだ」と明かした。こうなると決算公告にある「販管費16億円」のうち大部分は、広告宣伝費とも考えられそうだ。

   見渡せば、ニュースアプリは「スマートニュース」「アンテナ」「LINEニュース」とダウンロード数でグノシーを急追するライバルがひしめく。中でもスマートニュースは、8月1日からテレビCMを始め、36億円の資金調達も実施した。グノシーとしては「赤字覚悟」でも、早い段階で勝負に出たようだ。

   出資を受けて「カネ」はあるが知名度が低いネットベンチャーが、テレビCMを通じてアピールするのは珍しいことではない。ITジャーナリストの井上トシユキ氏は、「近年ではソーシャルゲーム会社が同様の手法を取っていました」と話す。グノシーの場合、確かにダウンロード数はCM後の方が増えている。明確な数字は発表されていないが、競合他社と比べて圧倒的な差をつけるまでには至っていないようだ。

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