「TSUTAYA」の「SIMフリー」コーナー、一人の利用者もなく、1日で撤収
こうした流れに乗ろうと、レンタルビデオや書店チェーンの「TSUTAYA」を運営するカルチャー・コンビニエンス・クラブ(CCC)も2014年7月8日、東京・神谷町の「TSUTAYA BOOK STORE 神谷町駅前店」で、「SIMフリー」のスマートフォンを販売する取り組みを実験的に開始した。
CCCとしては、これまでレンタルビデオ代などに費やされていたユーザーの「小遣い」が、月々にかかる高い通信コストに食われていると考えている。そんな通信コストを下げることで、手元の資金を再びビデオや書籍代に振り向けてもらおうというわけだ。
神谷町駅前店に設けた特設コーナーで、OCNのSIMカードとセットで提案。端末は比較的性能の高いモデルから2万円を切る価格帯までを用意し、いずれも一括で購入してもらうスタイルで発売した。
ところが、その「トライアル」はわずか1日で撤収してしまった。用意した「START! SIM Free」の大きなサインボードも、すでに撤去している。
CCCはその理由について、「運営スキーム上の課題がみつかったため、撤収しました」としている。課題が見つかったのが開始して間もなくだったため、利用者は一人もいないという。
課題の具体的な内容については、「運営にかかわることなので差し控えたい」と話しているほか、今後の「SIMフリー」スマホの取り扱いも「未定」だそうだ。
じつは、「SIMフリー」のスマホは「思うように伸ばせていない」との指摘がある。なぜか――。たとえば、実質ゼロ円のスマホは、使い続ければ通信料金の値引きで相殺されるという計算だが、別のサービスに乗り換えようとした場合には、その「残債」が発生してしまう。
「SIMフリー」スマホは新規に購入する場合、端末代と通信コストが別々に発生するので、初期投資がかかることがある。また大手キャリアを利用している場合、「家族割引」などに加入してトータルの料金を安くしているので、契約変更に手間がかかることもあるとされる。