アルピニストの野口健さん(40)がツイッターで紹介した、韓国を訪れた際に受けたという「日本人差別」のエピソードが反響を呼んでいる。
運転手に日本人だと告げたところ、目的地に到着していないにもかかわらず車から降りるよう言われたというのだ。
サウナでも日本人か聞かれ「追放された」
野口さんは2014年7月14日、「韓国、日本人客減に危機感...都内で誘致イベント」という読売新聞の記事に触れた上で、
「韓国訪問の時にタクシーに乗っていたら運転手に『日本人か?』といわれ、『そうだ』と答えたら『車から下りろ』と。そのクセに『金は払え』と。頭にきて一銭も払いませんでしたが。当たり前でしょ」
とツイートした。具体的なやりとりや状況は定かではないが、野口さんの弁によれば、運転手は乗客が「日本人」だと分かった途端に態度を変えて乗車距離分の料金を払って降りるよう言ってきたということらしい。
これに野口さんは「仮に日本で韓国人観光客がタクシーに乗って運ちゃんに『韓国人は下りろ』と言われるだろうか?」と疑問を呈す。
また、プサンでサウナに入った際にも同じように「日本人か?」と尋ねられて「追放」された経験も打ち明け、「あの時の印象が忘れられない。一部の人の対応かもしれないが日本人旅行者が減るのも無理はない」「旅で受けるインパクトは良くも悪くも大きい」などと述べた。
世界的なアルピニストの発言ということもあって、ツイートは話題になった。野口さんのツイッター宛てには
「学生交流で何回も行ったことありますが似たような経験あります。これはネトウヨとかじゃなくて韓国好きな人の中でも経験ある人はいると思います」
「仕事で行きますが、タクシーの下りはものすごくよくわかります。知り合いの家族は唾吐かれた事もあります」
という同様の体験を訴える声も寄せられていた。
夏休みの韓国旅行「一昨年よりも25%減」
野口さん以外にも日本人という理由で差別的な扱いを受けたというトラブルは際立ってきているのだろうか。
大手旅行会社に聞いてみると「もしかしたら中にはあるのかもしれませんが、頻発しているということはないと思います。当社でもそうしたトラブルが直接お客様の方からあがってきたことはございません」(JTB広報室)とのことで、野口さんも指摘するように一部の人の行いに過ぎないのかもしれない。
それでも、なかなか改善されない日韓関係に起因する「負のイメージ」は一般レベルにも広く浸透しているようだ。日本人訪問者数はここ1年半以上も「低空飛行」が続いている。
単月ベースの日本人訪問者数は2012年3月に過去最高の約36万人となったものの、同年9月以降は前年割れ。最新の2014年5月も前年比9.6%減の約20万人にとどまっている。
夏休みの旅行計画にもリストアップされにくくなったようで、JTB広報担当者は「昨夏、今夏の韓国旅行への申し込みは、12年夏と比較すると25%ほど減っています」という。
2014年の日本人訪問者数は250万人程度となる見込みとも報じられ、ピークの12年(約360万人)と比較すると3割ほどの減少が予想される。
一方で日本を訪れる韓国人も減っている。2014年5月には中国からの旅行者が約2倍になり、タイも54.7%、台湾も44.1%と増加したが、韓国は14.6%減と4か月続けて前年同月を下回った。