原発2号機の格納容器「水位30センチ」 核燃料が露出の恐れ、冷却維持は今も綱渡り?

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   東京電力福島第1原発の2号機で、原子炉格納容器にたまっている水の高さが約30センチと東電が明らかにした。2年前の調査では60センチと報告されており、水位が半分になった計算だ。

   事故により圧力容器から溶け落ちた核燃料は、格納容器の底にとどまっているとみられる。温度を維持するための水が燃料を完全に浸しているのかは不明だという。

「2020年に核燃料取り出し」も水漏れ個所が今も見つからず

格納容器の底部に核燃料がたまる2号機
格納容器の底部に核燃料がたまる2号機

   東電の2014年6月9日の発表によると、格納容器に水位計を入れて図ったところ、水が達していたのは底部から約30センチのところだったという。一方で水温は上昇しておらず、核燃料は安定的に冷却できているとの判断だ。

   2年前の2012年3月26日、東電は内視鏡を入れた調査を実施している。このときは水位が約60センチだった。それでも、調査前までは水深が4メートル程度あると推定されていたため、かなりの誤差となった。今回、さらに水位が下がったことになり、燃料への影響が懸念される。

   東電は会見で、「溶け落ちた核燃料が完全に水の中につかっているのか、外に一部出ているのか、はっきりしない」と述べた。冷却のため注水を続けてはいるが、水面より上に燃料が露出しているとしたら、トラブルが起きて注水がストップした場合に危険な状態に陥る恐れがある。2号機では、格納容器下部にある圧力抑制室という設備が損傷しているため水が外部に漏れ続けているからだ。核燃料の冷却維持は、いまも綱渡り状態の可能性がある。

   国と東電が2013年6月27日にまとめた福島第1原発の廃炉に向けた中長期ロードマップでは、核燃料を取り出すためには格納容器を水で満たす方法が「作業被ばく低減等の観点から最も確実な方法であると考えられる」としている。2号機では、2014年度に格納容器の調査を行うために原子炉建屋内の除染作業を完了させ、2016年度下半期には圧力抑制室のある格納容器下部の補修方法を確定、翌年度に作業に着手する計画だ。そのうえで核燃料の取り出しを開始する時期は、最も早くて2020年度と定めている。

   だが、現時点で圧力抑制室の損傷個所は見つかっていない。この問題を解決しない限り、2号機の廃炉作業が前進しないどころか、燃料冷却のために使われる大量の水が汚染水となって外に漏れる現状から脱却できない。今も苦戦する汚染水処理にエネルギーを傾けざるを得ず、燃料取り出しが後手に回る恐れもある。

核燃料撤去のために調査は始まったが……

   2号機では現在、ロードマップに沿って原子炉建屋内の除染に取り掛かっている。建屋内は放射線量が極めて高いため、遠隔操作による技術を開発している。東電の2014年1月24日付の資料をみると、溶けた燃料を取り出すために「天井クレーン」などの装置を取り付けるという。水素爆発が起きた1号機や3号機とは違って建屋が残ったため、まずは既存設備を利用して装置の復旧を試みる。芳しくなかった場合は建屋上部を撤去し、代わりの覆いをつくったうえで燃料取扱装置を設置するそうだ。

   この前段階として、まずは建屋屋上に穴をあけてカメラや線量計を吊りおろし、内部の汚染状況を調査する。ロボットを使ってのサンプル採取も実施。予定では3月いっぱいで調査は完了しているはずで、順調なら燃料取り出し装置の設置に向けて作業が進んでいることになる。2号機の現状を知らせる東電の発表は、これが最新情報だ。

   しかし燃料の取り出しは、核燃料の冠水の実現が大前提だ。3号機では2014年5月中旬、格納容器から水が漏れだしている場所が見つかったとの発表があったが、2号機では報告がない。仮に見つかっても、漏えいを防ぐ技術の開発はこれからだ。

   今回発表された「水位30センチ」という事実も、溶けた核燃料の撤去を遅らせる要因にならないか、不安は残る。

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