「徴兵制を導入した方がよいかもしれない」。経済アナリストで独協大教授の森永卓郎さん(56)が、オピニオンサイトで突如こう唱えて話題だ。皮肉を込めたようだが、異論も出ている。
森永卓郎さんは、テレビ番組では、ハト派のキャラでお馴染みだ。「絶対に9条は守るべきだ」「戦力は持たなくていい」などの発言が、ネット上で時々論議になっている。
「安倍内閣の暴走に危機を感じるようになる」
ところが、オピニオンサイト「マガジン9」で連載している「戦争と平和講座」では、いきなり徴兵制の導入を持ち出した。
2014年5月14日に載ったこのコラムでは、まず中国が尖閣諸島に侵攻しても米軍は守ってくれないのに、米国は自分が戦争するときは自衛隊に出動しろと言うと問題提起した。
これを受けて、安倍晋三首相は、憲法9条に反して集団的自衛権の行使容認に動いているとし、戦争に巻き込まれる可能性があるのに、「国民には危機感がほとんどない。私が教えている学生たちも、大部分が関心さえ持っていない」と嘆いた。
先進諸国が導入している志願制では、低所得層の若者たちが前線に送られることになるが、「自分は関係がない」と思っていると指摘した。そして、「私はいっそのこと若者たちに徴兵制を適用したらどうかと思う。そうすれば、戦争の恐ろしさを、自分自身のこととして、考えるようになるだろう」と持論を展開した。
森永さんは、さらに、「若者だけではなく、国会議員にも任期を終えたら戦地に赴く義務を課し、国家公務員は人事異動で前線に配属できるようにすべきだ。そうすれば、安倍内閣がこれだけの暴走をすることに危機を感じるようになるだろう」とも言っている。