忘れられない看護、受賞作を発表 涙と感動の応募作3422点から選ばれる

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   日本看護協会などが募集していた第4回「忘れられない看護エピソード」受賞作品が決まり、2013年5月10日、東京・表参道の同協会で表彰式が行われた。5月12日の「看護の日」をはさむ「看護週間」の目玉行事で、3422作品の応募があった。

   脚本家の内館牧子さんらの審査で、看護職部門と一般部門とも最優秀賞1編、内館牧子賞1編、優秀賞3編、入選5編の計20編が選ばれた。

車イスで活躍する看護師も

   最優秀賞(賞金20万円)は、看護職部門が愛媛県・豊崎幸子さんの「舞い降りたご主人」、一般部門が広島県・河上知子さんの「背中をポンポン」。

   3度目の手術で緊張していた女性患者の気持ちをほぐそうと、担当看護師の豊崎さんは何気なく「癒されグッズってありますか」と聞いた。女性が取り出したのは少し前に亡くなったご主人がいつも付けていたというブレスレット。豊崎さんは手術室の看護師に頼み込み、入退出時は手首にはめられるよう計らった。2度の手術時も支えたご主人があたかもいるかのようだった。

   河上さんは32年前、ひきつけを起こして重症の息子の病床で何日間も泣きながら介護をした。あまりの乱心ぶりに声をかける人もいなかった。ところが40歳前後の看護師さんが血圧測定、点滴交換、検温などのたびに、河上さんの背中を軽くたたいてくれた。それが励ましや叱る言葉に聞こえ、心を落ちつかせることができた。障害を持つ息子とのその後の生活の中でも河上さんはポンポンを感じている。

   看護師部門は多数の体験から選ぶためか、すぐれた作品が目立った。「歩けない看護師でも」の兵庫県・安達千代美さんは自分が多発性硬化症になって受けた看護に学び、車イス看護師として活躍している。「1分間の面会」の大阪府・三浦ひとみさんは、ひん死の白血病少年に捨てた母親が会いに来た新人時代の話。少年が元気な時、会いたくないといっていたことから迷うが、母親を看護師に仕立てて脈を測らせた。

   第1回から今回までの受賞作品は、日本看護協会ホームページで読むことができる。

(医療ジャーナリスト・田辺功)

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