世帯年収が355万円でも3000万円近いマンションを買えるとうたった大阪の不動産会社の広告が、ネット上で話題になっている。管理費や固定資産税などもかかるのに、どうやり繰りするのかというわけだ。
この会社は、東証1部に上場しており、近畿圏でここ数年、マンション供給トップクラスに入っている。
3LDKで2700万円のマンションだが…
話題になったのは、大阪市浪速区にある15階建て新築分譲マンション(約200戸)の広告だ。
あるツイッターユーザーが2014年5月3日、自宅に入っていたチラシだとして、その画像をアップした。
「世帯年収355万円 私たちマンション買っちゃいました!」
こんなキャッチフレーズで、若いカップルがほほ笑んでいる。年収は28歳の男性が215万円、27歳の女性が140万円で、計355万円との設定だ。これに対し、ツイッターユーザーは、「こんな爽やかに笑ってる場合じゃない年収だろ……」と漏らした。このつぶやきは、5000以上ものリツイートが付いて、大きな話題になっている。
不動産会社のサイトを見ると、3LDKで約2700万円のマンションだとある。住宅ローン35年払いで400万円ほどの固定金利がかかるため、月々の返済は7万4000円強になる。これに月2万円が控除されるため、ローンの実質負担は5万台だとしている。
マンションは、大阪中心部に近く、タカシマヤまで徒歩圏だとしており、いざとなれば、人に貸して家賃収入も見込めるとした。賃料を16万円とすれば、8万円以上の収入になるというのだ。
しかし、年収355万円でも買えるとしたことについては、ネット上で、疑問の声は多い。
「管理費や固定資産税などは支払えるのか」
まず、マンションの管理費や修繕積立金のほか、新築だと固定資産税も高いのではないかとの指摘があった。不動産会社のサイトを見ると、管理費や修繕積立金だけで月に計1万円前後もする。また、「嫁さんが妊娠して働けなくなったらどうやってローンを払うんだ?」「どちらかが病気になったら終わる人生だわ」といった声も上がっていた。
ネットサービス会社を経営している藤川真一さんは、自らのブログで、マンション住民は運命共同体であり、年収が300万円台の人たちが集まってローンや管理費などが支払えない人が続出したら、そのマンションは荒廃してしまうと指摘した。これに対し、ホリエモンこと堀江貴文さんもツイッターで「買っちゃダメだよな」と賛同を示していた。
一方で、年収355万円でも買えるということに理解を示す声も、ネット上では出ていた。「子供を生む気がなければ出来ないことは無い」「年収600万の永続を前提にギリギリのローン組むみたいなパターンの方がよほど危ない」「こんなん詰みそうになったら親に頼ればいいんだよ」といったものだ。