指弾された小保方氏と同じことをしていた! 理研・石井調査委員長が「画像切り貼り」で辞任

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   STAP細胞に関する論文に改ざんやねつ造があったと結論付けた理化学研究所の調査委員会で委員長を務めている石井俊輔・理研上席研究員が、委員長と委員を辞任することになった。2014年4月25日、理研が発表した。その理由は、石井氏が責任著者になっていた論文に対して、ネット上で画像の切り貼りが指摘されたためだ。

   指摘された部分については、すでに訂正の手続きを行っているという。だが、石井氏は、小保方氏の「真正な画像データが存在している」という主張を「不正の認定は『論文投稿時にどういう行為が行われたか』なので、それは関係ない」と一蹴した経緯があり、非常に苦しい立場に追い込まれたともいえる。

レーンの順番を文章の順番と同じになるように入れ替える

調査委員長として小保方氏の「研究不正」について説明する石井俊輔・理研上席研究員
調査委員長として小保方氏の「研究不正」について説明する石井俊輔・理研上席研究員

   問題が指摘されているのは、07年8月にネイチャーの姉妹誌「オンコジーン」電子版に掲載された、乳がんに関するたんぱく質について扱った論文。8人いる共著者のうち、石井氏ら2人が責任著者になっている。石井氏は分子遺伝学が専門。

   石井氏が14年4月24日に自らの研究室のウェブサイトで公表した5ページにわたるPDFの文書によると、画像(レーン)の順番を、論文の文章の順番と同じになるように入れ替えていたという。文書では「入れ替え」の理由や方法については説明されていないが、ネット上では切り貼りがされたとの指摘が相次いでいた。

   PDFの文書には実験ノートのコピーや、修正後の図表もついている。石井氏はこれらをオンコジーン誌の編集者に送り、すでに訂正を行う許可を得たと説明している。

   訂正文では、

「これらの(図表の)変更は、我々の研究の結果や結論のいずれにも影響はない。この間違いによる混乱をお詫びする」

とある。

「皆様に疑念を抱かせてしまった」と陳謝

   米国生化学分子生物学会が発行する別の学術誌に掲載された論文についても同様の指摘が出ている。だが、この論文については、

「問題はないと考えています。オリジナルデータはすべて保存していますので、何時でも開示できます」

と反論したものの、石井氏は文書の中で

「皆様に疑念を抱かせてしまったこと、またこれにより色々なご迷惑をおかけした事を深くお詫び申し上げます」

と陳謝した。

   石井氏は4月1日に開かれた調査報告書の発表会見で、小保方氏による切り貼りを「改ざん」、画像の差し替えを「ねつ造」だと断じ、「研究不正」だとして厳しく批判した経緯がある。

   特に、「真正な画像データが存在していることは中間報告書でも認められています」という小保方氏の反論については、「これは非常に話が簡単でして…」と、わざわざ前置きしたうえで、

「差し替え用の真正と思われる画像があるということと、論文投稿時に、非常に不確実なデータを、意図的にあるいは非意図的に使ったということは全く別問題。不正の認定は後者の『論文投稿時にどういう行為が行われたか』なので、それは関係ない」

と一蹴していた。

石井氏の論文についても理研が調査始める

   これに近いことが、自らが関わった論文でも起こったことで、石井氏は自らが調査委員会の任には堪えないと判断したようだ。石井氏は委員長と委員の辞任を理研に申し出て、4月25日に受理された。後任は委員で弁護士の渡部惇氏。渡部氏は4月26日付で新委員長に就任し、小保方氏が不服申し立てを通じて要求している再調査を行うかどうかを引き続き審査する。

   4月24日には、石井氏の論文に対する疑惑が理研にも寄せられたという。これを受けて、理研は監査・コンプライアンス室で調査を始めている。この調査は理研の「科学研究上の不正行為の防止等に関する規程」に基づいて行われているが、これは小保方氏の論文について調査委員会を立ち上げる根拠になった規程でもある。石井氏からすれば、自らが指摘したのと同様の事象について、同じ規定を根拠に調査を受けるという皮肉な事態になっている。

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