NHKの籾井勝人会長が、専務理事2人に辞任を迫り、拒否されて断念したと報じられ、ネット上で様々な意見が出ている。そんな中で、かなり突っ込んだ人事に踏み切ったことが浮き彫りになってきた。
籾井勝人会長は、国会開会中は、就任早々の慰安婦発言やNHKの新年度予算案について、防戦一方の答弁に追われた。
3人の理事に業務を集約する大胆な人事に
ところが、報道によると、2014年3月末に国会で予算案が承認されると、今度は一転して攻めの姿勢になった。
それは、かねてからの念願だったNHKの役員人事に乗り出したということだ。真偽ははっきりしないが、安倍晋三首相サイドに考えが近いとされる籾井会長には、NHKの「偏向放送」を変えたい狙いがあるのではないかともされている。
NHKは、4月25日付の役員人事を22日に発表したが、複数の新聞報道によると、籾井会長はその前日、経営企画担当と人事・労務担当の2人の専務理事に個別に会って辞任を求めた。3期6年にもなるので後進に道を譲ってほしい、と説明したというのだ。
これに対し、2人は、予算業務を続ける必要があるなどとして、辞任することを拒否した。放送法第55条では、非行などが認められないと任期中は役員を罷免できないとされており、籾井会長は、それ以上の説得を断念したという。
結局、22日の経営委員会では、24日に任期が切れる理事4人のうち、2人だけが退任することが決まった。
とはいえ、役員人事には、担当業務の大幅な変更が含まれていた。辞任を求めた理事2人は担当を変えられ、新たに昇格した理事が経営企画担当に、また、再任された理事1人が人事・労務担当に就いた。さらに、番組制作トップの放送総局長が変えられ、もう1人の再任理事が専務理事に昇格して放送総局長になった。そればかりでなく、国際放送統括まで任されることになったのだ。
「横暴」「いや改革だ」ネット上で論議
報道によると、この3人で、主要な業務が集約されることになった。いずれも、籾井会長や安倍首相サイドに考えが近いともされている。
籾井勝人会長が人事案を示したのは、経営委員会の当日で、これまで前例のないことだった。籾井会長は、体調不良を理由に、前回の経営委員会を欠席していたが、当日になったことを「情報漏えいを防ぐため」と説明した。また、担当業務を変えることは、放送法に規定はなく、会長としての専権事項だと主張した。
しかし、12人いる経営委員のうち2人が異議を唱えて、同意を保留してしまった。さらに、退任する理事のうち1人は、当日の経営委員会で、籾井会長の罷免を求める事態にもなったと報じられた。こうしたことも前例にないことだという。
籾井会長が大胆な人事をしようとしたことについて、ネット上では、様々な議論が出ている。
否定的な向きとしては、「まだこんな横暴が続いているのか」「私物化・独裁化が進んでいく」「まずはあなたが辞めるべきだよ」といった指摘が出た。
一方、擁護する書き込みも多く、「これからが本領発揮だな」「NHKの改革をガンガン進めてほしい」「反日左翼職員よ、首を洗っていろ」といった声が相次いでいる。