理化学研究所(理研)の小保方晴子・研究ユニットリーダーが2014年4月9日に開いた会見では、小保方氏は論文の「不備」を繰り返し謝罪する一方でSTAP細胞の実在を主張し続けた。だが、それを具体的に支える根拠は結局示されることはなかった。
ワイドショーなどでは小保方氏に同情的な声が聞こえるものの、研究者のツイートでは、小保方氏の会見にあきれる声が目立った。
「ノートがあるならもっておいで」
STAP細胞の存在が信用されない最大の理由は、小保方氏が第三者が検証可能な形で物的証拠を示していないからだ。新聞などでコメントした識者の大半がこの点を指摘し、小保方氏を批判している。ツイッター上での発言も、その傾向は同じだ。
例えば会見で質問したサイエンスライターの片瀬久美子氏は、
「小保方さんの関与なく再現実験に成功している人物の存在も、他にあるとする実験ノートも、不都合があって誰か明かしたり、公開したりできないという事で、新事実を小保方さん自ら証明することを拒まれました。事実を示して頂かないと、これらの証言を信頼することはできません」
と小保方氏の答弁に不信感を表明。高エネルギー加速器研究機構の野尻美保子教授は、
「ノートがあるならもっておいで」
と、あきれた様子だ。
中央大学理工学部の竹内健教授は一歩踏み込んで、
「最初は小さな嘘でも、嘘をついてもばれないので、大きな嘘をつくようになり。取り返しのつかないところまで行って破綻した、ということかな」
と小保方氏が嘘を嘘で隠そうとしていると指摘した。
ヤフー意識調査では36%が「納得した」
ヤフーの意識調査では、「小保方リーダーの会見に納得?」という問いに対して12万票近く集まっている。そのうち43.4%が「納得できなかった」と答える一方で36.3%が「納得した」と回答。理研の調査委員会が「研究不正」だと認定した行為をめぐる議論以外の論点で小保方氏を擁護する声も出ている。
元理研脳科学総合研究センター研究員の尾崎隆氏は この点を念頭に、
「海外からの冷たい視線を横に、日本では筆頭著者がかわいそう&許してあげて世論攻勢を受けてSTAP論文も研究チームも存続。そしてSTAPと"RIKEN edit"(捏造する)の俗語とともに、日本のサイエンスは沈没する。めでたしめでたし」
と、皮肉った。パデュー大学の木原大亮准教授は
「あんま意味ないと思うけど世間的にはアピールしたと思う 泣いたし 反省したし でも理研には文句言わない健気な姿勢をみせたし」
と、会見には世論の同情を買う効果があったとみている。
東大理学部のロバート・ゲラー教授は、今後の展望を示した。
「来る解雇に対しての法廷闘争の環境準備。今日の会見はこの側面でわりと成功した」
弁護団は小保方氏の行為が理研の規程で定める「捏造」「改ざん」の定義に当てはまらないと主張しており、処分にいたるまでのプロセスの不当性を世論に印象付けることに成功したとみているようだ。