地元出資の自然エネルギー発電事業者が次々誕生  電事連に対抗、「21世紀の電事連」を結成へ

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   全国で再生可能エネルギー(自然エネルギー)の発電に取り組む35の事業者が「全国ご当地エネルギー協会」(仮称)の設立に向けて動き始めた。2014年3月11日には発起人総会を東京で開いた。

   北海道から九州まで、市民や地元企業などが出資して運営する小さな電力会社の集まりだが、東京電力など大手電力会社の業界団体「電気事業連合会(電事連)」に対抗し、市民目線の「21世紀の電事連(みんなの電事連)」を目指しているという。

市民ファンドを活用し、静岡市内3カ所に太陽光発電所を設置

「ご当地エネルギー」広がる(画像は「会津電力」WEBサイト)
「ご当地エネルギー」広がる(画像は「会津電力」WEBサイト)

   発起人総会は、東日本大震災から3周年となる「3.11」に合わせて開かれ、会津電力(福島県喜多方市)の佐藤彌右衛門社長が「将来世代にツケ回しせず、歴史的な転換を実現するという思いを込めて、『全国ご当地エネルギー協会』を立ち上げたい」と宣言した。

   会津電力は福島県内で「電力の自給」を目指して2013年8月に株式会社として発足。14年8月までに会津地方に太陽光発電所を複数設置する。将来的には灌漑用水を利用した小水力、木質バイオマスなどでも発電を行う方針だ。佐藤社長は地元の老舗酒造メーカーの経営者で、日本地酒協同組合の理事長も務める実業家だ。

   全国には会津電力のように、地元出資の自然エネルギー発電事業者が次々と誕生している。関西電力の地元では、NPO法人「新エネルギーをすすめる宝塚の会」(兵庫県宝塚市)が「市民出資による手作りの太陽光発電所」として「宝塚すみれ発電所」を稼動させている。中部電力浜岡原発が立地する静岡県では、地元の有力企業・鈴与商事とNPOが株主となり、「しずおか未来エネルギー」(静岡市)が発足。市民ファンドを活用し、静岡市内3カ所に太陽光発電所を設置し、中部電力に売電している。

協会の正式な発足は5月前後になる見通し

   太陽光発電や風力発電など、再生可能エネルギーは「高い発電コスト、出力の不安定性、立地制約といった課題」(政府の「エネルギー基本計画」案)など、マイナス面が強調されることが多い。しかし、具体的に実績を上げている事業者もいる。今回、同協会の発起人メンバーとなった生活協同組合パルシステム東京は、子会社の電力会社を通じて、栃木県の農業用水を利用した小水力発電や山形県のバイオマス発電の電力を購入。「現在、パルシステム東京が事業で使用する電力の約6割を再生可能エネルギーに切り替えている。2016年の電力小売り完全自由化後は、組合員に再生可能エネルギーの電力を売ることも視野に入れている」という。

   同協会の事務局幹事を務める飯田哲也・環境エネルギー政策研究所所長は「太陽光や風力発電などの事業を始めたくても、大手電力会社への接続問題で制約を受けたり、金融機関からの借り入れなどで戸惑うことが多い。全国の仲間が経験と知識を共有することで、全国で『ご当地エネルギー』をお互いに支援し、販売ネットワークを広げていきたい」と語っている。同協会の正式な発足は5月前後になる見通しという。

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