大阪市が24区で公募した区長のうち4人が、2014年4月までに降格や退職になる事態になった。セクハラなどの不祥事が相次いでおり、音頭を取った橋下徹市長の責任を問う声も強まっている。
「人間だれでも失敗はある」。橋下徹市長は、2013年9月に東成区長のセクハラ疑惑が発覚したとき、こう発言していた。
「適任者を選ぶことができなかった」
しかし、出直し選が近づいた14年2月6日になって、橋下氏は、急に自らの任命責任を認めた。報道によると、公募区長について、「適任者を選ぶことができなかった」として、複数の区長を更迭する方針を示した。
そして、再選後の3月25日、大阪市は、東成区と鶴見区の区長2人を降格する人事を発表した。2人とも、4月1日付で新設される区政支援室の部長級ポストに就く。これで、約1400万円の年収が1000万円ほどになるという。
さらに、北区の区長が2月末で退職し、城東区の区長も3月末で退職することになった。報道では、2人とも橋下市長が区政運営に問題があるとして更迭を考えていたとされている。しかし、2人は、自己都合退職であることを強調している。
とはいえ、4人は、任期を16年3月末まで残して、わずか1年半で区長を去ることになった。1年前には、東住吉区の区長が経歴詐称問題などから分限免職になっており、これで24区のうち5区、公募市長の約5分の1がいなくなった計算になる。
4人の後任としては、市の職員が区長を務めることになった。
公募区長については、民間の感覚で市政を変える狙いがあるとされた。しかし、公募校長も含めて、就任後から不祥事が跡を絶たなかった。
報道によると、東成区長(55)は、部下の女性職員に対して、背中やお腹を長時間触ったり、自宅近くで「僕のマンション。来るなら片付けておいたのに」と言ったりしたことが発覚した。
「直ちに公募制度がダメとならない」
区長は、セクハラの意図を否定したが、事実関係を認めて、2013年9月13日付で1か月間減給10分の1の懲戒処分になっている。
また、鶴見区長(54)は14年1月、市の受注業者と会食するなど不適切な交際をしていたとして、厳重注意を受けていた。
不祥事が相次いでいるため、ネット上では、自らも人選に当たった橋下徹市長に対し、厳しい声が次々に上がっている。
「橋下氏も市長不適任だと思います」「人材を見る目を持っていない」「『適任者を選ぶことができない』なら幹部公募なんて止めたら?」
区長を降格しても、高給を支払い続けていることについても、疑問の声が出ていた。
大阪市の人事課では、区長を降格した理由について、セクハラなどの不祥事だけで決めたわけではないと取材に説明した。
「期待した組織マネジメントが発揮できなかったからです。総合的な判断で人事を決めました」
後任に市職員を選んだことについては、公募制度を止めたわけではないとした。
「選考に時間がかかるので、公募している余裕がありませんでした。職員基本条例で制度が決められていますので、原則は公募になります」
市は人を見る目がないのではないかとの指摘については、「結果として何人か変わるのは残念ですが、よく頑張っている区長もいます。ですから、直ちに公募制度がダメとはならないと思います」と反論する。ただ、市の内部では、制度のあり方について検討はしていると言っている。