英科学誌「ネイチャー」に掲載された新型万能細胞「STAP細胞」の論文に複数の不適切な点が見つかったことを受け、筆頭著者の小保方晴子研究ユニットリーダーらは2014年3月14日、論文取り下げの意向を書面で発表した。
論文中の画像データの流用や、他論文の無断引用が指摘され始めた2月中旬以降、インターネット上では戸惑いの声が相次いでいたが、特にここ1週間は事態が深刻化しただけに、以前の賞賛や擁護の書き込みをこっそり取り下げる著名人もいる。
「夢のようです」と絶賛も…
その一人が、自民党衆議院議員の上川陽子総務副大臣(61)だ。2月3日、「小保方晴子さん、おめでとう!」と題した記事を公開し、小保方氏の快挙を祝した。上川氏はこれまで、日本人女性初となるノーベル賞受賞者の輩出に向けて力を注いできたそうで「有力な候補者が彗星のごとく登場したのですから、夢のようです。『日本人女性初のノーベル賞受賞』の夢が一日も早く実現するよう、私も引き続き応援していきたいと思います」と小保方氏にエールを贈っていた。
ところが論文の取り下げについての話が出始めた頃、突然記事は見られなくなってしまった。キャッシュを確認すると3月9日から12日までの間に削除されたことが分かる。削除理由についての説明もなく、ネット上では「いきなり削除とか酷過ぎじゃね」、「自分の主張のために小保方を利用したけどどうも嘘つきっぽいことが判明したから記事削除して切り捨てたわけね」などと批判的な声も寄せられている。
「理系女子現代アーティスト」として活躍する米マサチューセッツ工科大メディアラボ助教授のスプツニ子!さん(28)も、小保方さんらを応援するツイートを消している。3月13日、
「わたしはSTAP細胞のことは落ち着いて見守ろうと思っている。もしなにか間違いがあっても、小保方さんたちが来年再来年、再実験できるよう皆で応援したら良いじゃない。日本や世界にとってかけがえのないバイオの若い才能なのは確かなんだから」
とつぶやき、1000件近くリツイートされたのだが、14日には削除。その後、STAP細胞関連の発言はない(15日17時時点)。
奨学生紹介ページはメッセージのみの掲載に
小保方氏の顔写真とメッセージを掲載していた「早稲田応用化学会」のホームページからも、いつのまにか顔写真が消えている。
小保方氏は早稲田大学理工学部応用化学科の出身で、2007年度に同会から奨学金を受けていた。成績優秀者にだけ給付される返済不要の奨学金だ。サイトでは2007年度受給者の1人として紹介し、小保方氏が感謝の意などを綴ったメッセージを顔写真とともに公開していたのだが、現在はメッセージのみで、顔写真部分はグレーのイメージに変更してある。他の3人は通常どおり顔写真が載っているだけに違和感があるのだが、サイト上に説明はなく詳しい事情は分からない。
顔写真の変更は、3月14日ごろからネット上で騒ぎになった。早稲田大学は博士論文の「コピペ疑惑」を調査している最中であり、ネット上ではそれと関連付けた見方が多数のようだ。「博士号を取らせた早稲田さんサイドにも問題はあるからね、しょうがないね」「消すだけじゃなくてちゃんとした対応期待」といった声があがっている。