STAP細胞論文を書いた小保方晴子氏(30)の早大時代の博士論文について、さらなる疑惑が持ち上がっている。まだ証拠は出ていないが、論文を支える実験画像が他サイトからのコピペではないかと指摘されているのだ。
画像を比べてみると、確かに細胞の模様などがほぼ一致している。それは、科学研究支援会社「コスモ・バイオ」のサイトにある「肝細胞培養キット」との比較だ。
「コピペだとはまだ断定していません」
今回は、小保方晴子氏博士論文の53ページにある図10の画像に疑惑が指摘された。それは、コスモ・バイオのサイトに掲載されているマウスの肝細胞の画像をトリミングしてコピペしたようにも見える。
さらに、図10の別の画像は、米培養細胞メーカー「ゼン・バイオ」のサイトにある筋肉生成細胞の画像をコピペしたようにも見えると、ネット上で指摘された。
博士論文については、冒頭の20ページが米国立衛生研究所サイトの内容とほぼ同一だったことが分かって騒ぎになった。その後も、論文の参考文献リストが他論文からのコピペだった疑いが報じられている。
しかし、今度は、研究内容そのものにも疑惑が出てきたことになる。博士論文の画像は、マウスの骨髄から採取した細胞を肝臓細胞に分化させる実験の結果を示しており、研究上の本論部分に当たるからだ。
コスモ・バイオによると、サイト上の画像は、2007年6月に撮影して掲載した。小保方氏の博士論文は、それより後の11年2月に提出されていることから、もしコピペなら、小保方氏がしたことになる。コピペがあったかについて、経営企画室では、画像が似ていることは認めながらも、「同一だとはまだ断定していません」と取材に答えた。小保方氏の論文には、画像のクレジットはなく、コスモ・バイオでも、「引用することなどは、何も聞いていないです」と言う。
真相解明までまだ時間がかかる可能性
博士論文の数々の疑惑について、早大の広報課では、「まだ調査しており、個別にはお答えしていません」と取材に話した。これだけ重大な指摘があり論文は取り消されるのではないかと報じられているが、まだ何も決まっていないという。小保方晴子氏が論文を出した先進理工学研究科内で調査しており、結論を出すまでしばらく時間がかかると言っている。
コピペが指摘されていることについて、早大の教育そのものにも疑問の目が向けられている。
東大医科学研究所の上昌広特任教授は、ツイッターで、取材を何件か受けたと明かし、「私は早大博士課程の指導教員の責任が極めて重いとコメントしました。小保方さんがコピペしても、普通に指導すれば分かったはずです」と指摘した。また、京大理学研究科の佐々真一教授は、自らのブログで、「大学は第3者機関の調査を受けなければいけないと思う。そして、その結果は公にされるべきだし、問題のあった教員や責任者は処分を受けるべきだと思う」とまで言っている。
一方で、STAP細胞は本当に見つかったのかを含めて、まだ研究そのものについては疑惑に留まっていることから、バッシング過熱について疑問視する向きも出ている。
米MIT助教で現代アートを手がける「スプツニ子!」さんは、ツイッターで「わたしはSTAP細胞のことは落ち着いて見守ろうと思っている。もしなにか間違いがあっても、小保方さんたちが来年再来年、再実験できるよう皆で応援したら良いじゃない」と提案した。
小保方氏が所属する理研では、2014年3月14日に会見して調査の中間報告をするとしており、そこで何らかの見方が示される可能性はある。とはいえ、STAP細胞などの追試の結果がそろう必要も指摘されており、真相解明までまだ時間がかかることもありそうだ。