別人作曲問題で初めて会見した佐村河内守氏(50)が、作曲を依頼した新垣隆氏(43)に責任を押し付けるような発言をしていると、ネット上で反発の声が出ている。佐村河内氏は、新垣氏はウソをついていると言うのだが…。
「この方は??」。佐村河内守氏が2014年3月7日、東京都内のホテル内に設けられた会見会場に姿を現すと、実況中継中のテレビの司会者からこんな声が漏れた。
「ウソを言っている」として提訴を明言
それもそのはず、トレードマークだった長髪やヒゲ、サングラスといった出で立ちでなくなっていたからだ。髪はさっぱりと短く、ヒゲも剃ってあり、以前よりややふっくらした印象だった。ネット上でも、「誰だよw」「これ…ゴーストだろ…?」といった驚きの声が上がったほどだ。
佐村河内氏は会見で、装いを変えた理由について、「叱られると思った」などと謙虚なところを強調した。自分が作曲をしたとウソをついてきたことも、深々と頭を下げて謝罪した。しかし、会見を通じて、新垣隆氏を糾弾するような口調が目立った。
新垣氏が1か月前の会見で、佐村河内氏に何度もウソを止めるよう進言したとしたことについて、佐村河内氏は、「まったくのウソです」と強調した。新垣氏に言われたのは、別人作曲がバレそうになった一度だけだというのだ。作曲依頼の値段を上げると新垣氏は笑顔で「いいですよ」と言っていたといい、「本当に心からもう止めたいと思った人の発言でしょうか」と佐村河内氏は皮肉った。
新垣氏が「耳が聞こえないと感じたことは一度もない」と会見で述べたことについては、「ウソを言っている」と批判した。手話通話などを使わないと普通に会話はできないとし、音楽のテープを聞いて直しを指示したという週刊誌報道も否定した。そして、佐村河内氏はいきなり、「新垣氏らを名誉棄損で訴えます」と言い切ったのだ。
「謝罪ではなく逆ギレ」「見苦しいなぁ」といった批判も
佐村河内守氏は会見で、自分の妻の母親が交響曲の指示書は妻の筆跡だったと明かしたとされたことも、「バカげた話です」と切り捨てた。そして、妻が母親を名誉棄損で訴えるとまで話した。
ネット上では、こんな状況の中で会見までした佐村河内氏を評価する声はあるものの、「謝罪ではなく逆ギレ」「見苦しいなぁ」といった批判も出ていた。
一方、普通に会話できないとした佐村河内氏の主張には、疑問の声が相次いでいる。
佐村河内氏は、会見で手話通訳を使ったが、次第に記者の質問に「はい」などと即座に答えるようになった。記者が「耳は聞こえるのでは」と聞くと、「かすかに聞こえます」としたものの、音が歪んでほとんど聞き取れず、手話が必要になるのは事実だと説明した。
さらに、「1999年に音がまったくなくなったと感じた」と従来の主張を繰り返し、数か月で補聴器があれば聞こえることに気付いたと釈明した。原因は不明という。
聴力については、身障者手帳を出した横浜市が佐村河内氏に再検査してもらったところ、両耳とも50デシベルほどの難聴と分かった。これは70デシベル以上の聴覚障害レベルにはならないため、佐村河内氏は手帳を返納している。
このレベルでは、会話はかなりの程度聞き取れるのか。また、全聾になる2級の障害レベルから回復することはあるのか。
厚労省の担当者は、こうした点について、「50デシベルですと、普通の会話は聞きづらいと思いますが、大きな声なら聞こえるはずです。専門家の話ですと、2級からの回復は医学的に考えにくいとのことです」と言っている。