京浜東北脱線事故で下請け会社が反論 「『重機オペレーターがミス』は誤解だ」

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   JR京浜東北線の脱線事故について、重機オペレーターが時間を間違えたなどと報じられたのは事実と違うと、オペレーターを出した下請け会社がホームページ上で反論した。一体どうなっているのかと、関心を集めている。

   事故では、神奈川県のJR川崎駅構内で2014年2月23日未明、回送電車が工事車両と衝突し、脱線・横転して運転士と車掌が軽いケガをした。

「単独で重機を入線させることはありえない」

   新聞やテレビはその後、神奈川県警やJR東日本などからの情報を元に、事故の原因について次々に報じた。その報道によると、工事車両のオペレーターは、「線路がまだ閉鎖されていないのに誤って車両を載せてしまった。戻そうとしたが、間に合わなかった」とJR東日本の聞き取り調査に答えた。また、県警の調べにも、「作業時間を間違えた」と述べたという。県警では、業務上過失致傷の疑いで捜査している。

   これに対し、元請け企業側の線路閉鎖責任者は、携帯端末で手続きをしようと運行状況を確認しているときに事故が起きたと説明した。また、元請け企業の工事管理者も、打ち合わせをしていて、作業開始の指示を出していないと話したという。

   ところが、オペレーターを出した恵比寿機工は25日、ホームページ全面を使って事故の反論文を載せ、「事実と違う内容や誤解を生む報道が連日にわたりなされている」と訴えた。

   それによると、下請け作業員のオペレーターが単独で重機を入線させることは、オペレーターの命に関わる行為のためありえないというのだ。事故の当日も、オペレーターは、重機安全指揮者の警備会社から指示を受け、作業を開始したとし、それは複数の人の証言からも明らかだと主張している。そのうえで、「報道機関各位には適正な取材、報道をしていただけるようここに強く望みます」としている。

JR東日本「引き続き調査している」

   工事の重機入線ルールでは、線路閉鎖責任者、工事管理者、重機安全指揮者、重機オペレーターの順で連絡が行くことになっていた。ただ、線路閉鎖責任者と工事管理者を通じて、重機安全指揮者に何らかの連絡が行ったのかは明らかになっていない。

   恵比寿機工のホームページでは、その後反論文が取り下げられてしまったが、取材に対し、アクセス殺到でサーバーに負担がかかるなどしたためで、主張を取り下げたわけではないと説明している。

   ネット上では、ホームページ全面を使った反論について、「思い切ったコメントを出してきたなぁ」「勝負に出た感がすごい」といった感想が漏れた。また、「典型的な下請けが割りをくうパターンか」といった根拠のない憶測も流れている。

   JR東日本の広報部では、重機安全指揮者の警備会社から指示があったかなどについて、「引き続き調査しているとしか、今は言えません」と取材に答えた。そして、「オペレーターの方からは、『間違って線路に工事車両を載せてしまった』としか聞き取りができていません。国交省の運輸安全委員会が原因の調査に入っていますので、これ以上はお答えできないです」と言うに留まった。

   工事管理者の鉄建建設では、取材に対し、「現在調査中でお答えできかねます」(総務人事部)とした。グループ会社で線路閉鎖責任者のテッケン興産では、「対応は鉄建建設に一本化しており、分かりかねます」(総務部)とのことだった。

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