スカイマークが2014年春から一部路線で導入する新制服が波紋を広げている。制服は新型旅客機の導入を記念するキャンペーンの一環として登場するが、そのデザインは「ワンピースのミニスカート」という目を引くものだ。
ネット上では「画期的だ」と称賛する声も多いが、「下品」という指摘もある。客室乗務員(CA)でつくる団体は「迷惑行為を誘発しかねない」と見直しを求める「見解」を発表し、真剣に問題視する向きもあるようだ。
「緊急時に滑り台を降りる際にケガをするリスクも高まる」
制服はエアバス社製の大型旅客機「A330」の導入にあわせて、13年12月11日にフランス南部のトゥールーズにあるエアバス社本社で一部メディアに対して公開された。新制服は、青いミニスカートのワンピースと帽子、黄色いスカーフで構成されている。20代の客室乗務員が中心に乗務し、「若さ」を強調する。
かなり目を引く制服なだけに、発表直後から賛否両論が噴出。中国のネットにも飛び火し、「通路側を予約しよう」「こんな高いヒールで仕事できるのか」といった声があがった。
そんな中、CAらでつくる客室乗務員連絡会(客乗連)は2014年2月25日付けで、制服導入の再検討を求める「見解」を公式ブログに掲載した。客乗連は航空関係業界の労働組合49組合、約8500人でつくる「航空労組連絡会」の下部組織にあたる。見解では、航空法では「機内の秩序を乱す行為、性的嫌がらせ」が機内で禁じられている「安全阻害行為」にあたるとして、
「これらの行為を未然に防ぐことも客室乗務員の任務とされていますが、その迷惑行為等を誘発しかねないデザインであるとの危惧を持たざるを得ません」
と、制服をきっかけにセクハラが発生するリスクを指摘している。声明では、
「保安任務を遂行するにあたって支障を生じさせない事を前提とした制服デザインが求められます」
とも主張。この点について、客乗連では、
「スカート丈が短いと人目を気にしながら乗務せねばならず、保安任務に集中できない。緊急時にシューター(滑り台)を降りる際にケガをするリスクも高まる」
と、保安上も不適切だと話している。2月25日には国土交通省に申し入れを行ったが、スカイマークに直接申し入れるかは検討中だという。
1970年代にはJALのミニスカ制服を組合が問題視
客乗連として制服に関する見解を発表するのは初めてだが、1970年代には、日本航空(JAL)のミニスカ制服を組合が「荷物の上げ下ろしの際に人目を気にせねばならず、仕事がしにくい」などと問題視したことがあるという。
国外の例では、CAがセクシーな制服を着ていることで知られるシンガポール航空の機内で、2012年に日本人乗客がCAの尻を触るなどして罰金刑を受けたことがある。
スカイマークによると、新制服について特段の意見は寄せられておらず、客乗連の見解についても、直接の申し入れがあった際には対応を検討する考えだ。
A330には通常は440席を搭載できるが、これを270席に減らして1座席当たりの間隔や大きさを広げるのが特徴。14年4月18日に羽田-福岡路線に就航し、札幌(新千歳)、沖縄(那覇)線にも順次就航する。制服は各路線の就航から半年限定で導入される。それ以外のボーイング737型機で運航される路線では、引き続きCAはポロシャツ姿で乗務する。