医療・介護分野でロボット活用が進んでいる。薬などを目的の場所に運ぶ自動搬送ロボット、患者さんの歩行を助けるロボット、患者さんを癒すロボットなどがあるが、新しく「回診支援ロボット」が登場した。
豊橋技術科学大学人間・ロボット共生リサーチセンターの三枝亮・特任教授らが開発したもので、2014年2月4日、科学技術振興機構など主催の新技術説明会で発表された。
手不足の中型・大型病院でかなり役立つ
「テラピオ」と名付けられたこのロボットは、自動搬送ロボットの能力をさらに高め、医師や看護師が患者さんの病室を回診するのを支援する。タッチパネルの顔、円柱の体にキャスターが付いている。
機能としては(1)レーザーセンサーで自動的に特定の人物を追いかける(2)全方向に自動で動き、人間が触れるだけで動かすこともできる(3)診療情報を閲覧したり、入力できる(4)カメラを内蔵し、動画を撮影する(5)清潔な医療器具、廃棄物を収納する(6)タッチパネルの顔は泣いたり、喜んだり、困ったりの表情を示し、ロボットの感情を伝える、など。
医師や看護師は病室で、ロボットのタッチパネルに患者さんの電子カルテを取り出して見たり、病室での診察データをその場で入力したり、表情や患部を撮影して入力したりもできる。
回診する医師や看護師の後をついて回るこのロボットは助手のようなもの。電子カルテであり、薬や器具を運んでくれる。また、看護師に変わっての見守りや、変わる顔の表情を活用し、患者さんの癒し役も務めることができる。「ベッド数が多く、人手不足の中型・大型病院にはかなり役立つはず」と、三枝さんは強調した。
(医療ジャーナリスト 田辺功)