「Flappy Bird」というスマホゲームをご存じだろうか。「難し過ぎる」ということでネット上で大きな話題になり、89か国のiTunes Storeで1位を獲得するなど大ヒットしていたアプリだ。
それが突然、アプリ配信サイト上から削除されてしまい、一体何があったのか、とネット上で大騒ぎになっている。
「もうこれ以上やっていられません」
開発者のベトナム人技術者・DongNguyenさんは2014年2月8日、自身のツイッターアカウントに「Flappy Birdのユーザーの皆さんには申し訳ないのですが、今から22時間後にFlappy Birdを削除します。もうこれ以上やっていられません」と書き込んだ。その言葉通りアプリは現在iTunes StoreからもGoogle Playからも削除されている。
突然の削除に、楽しんでいたファンたちはショックを受け、理由をあれこれと推察し始めた。その中でもっとも有力だった説は、土管が並ぶドット絵の画面を横スクロールで進むゲームデザインや効果音などが任天堂のファミコンゲーム「スーパーマリオブラザーズ」によく似ているので、任天堂が怒ったのではないか、というものだ。あまりに騒ぎが大きくなったため、任天堂広報の皆川恭広さんがウォールストリートジャーナルの取材に対してメールで「噂や推測にたいして通常はコメントを致しませんが」と前置きをしつつ否定することになってしまった。DongNguyenさんもツイッターで、「法的な問題とはなにも関係ありません。ただ続けられなくなっただけです」と言っている。
DongNguyenさんは「(Flappybirdを)売ったりもしません。あと、ゲームはこれからも作ります」ともツイートしていて、削除宣言の前には「Flappy Birdは私のゲームとしては成功したといえますが、私の素朴な生活を台無しにもしました。だから、今ではこのゲームが嫌いです」とうんざりした様子も見せていた。各国のマスコミから寄せられる取材依頼に対しても、「本当に申し訳ありませんが、今はいっぱいいっぱいなんです。一人の人間が、こうしたことすべてに対応できるわけではないのです」などと答えており、どうやら本当に注目を過度に浴びることに嫌気がさしてしまっただけらしい。
しかし皮肉にも、「Flappy bird」は削除騒動でいったいどんなゲームだったのか、とさらなる注目を浴びることになっている。ebayには「Flappy bird」のインストールされたiPhone5Sが出品され、いたずら入札などが相次いで、日本円にして約1000万円にまで高騰してしまったり(現在は削除)、「Flappy dog」というキャラクターが違うだけのパクりゲームまで出てきたり。なぜか、作者のDongNguyenさんが自殺し、後追いを含めて計7人もの自殺者が出たとの嘘ニュースまで書かれる始末だ。