新興国リスクへの警戒感から世界同時株安の様相に陥り、日本の株式市場でも日経平均株価が連日のように下落している。2014年2月4日の終値は前日比610円66銭安の1万4008円47銭。下げ幅は今年最大で、3か月ぶりに1万4100円を割り込んだ。
その問題視されている新興国市場だが、MSCI(モルガンスタンレー・キャピタル・インターナショナル)が新興国の平均株価として定めているMSCI新興国市場株価指数でみると最近の1か月で7.5%程度下落し、下げ幅は13年1年間の5%を上回ってしまった。
東京株式市場、3か月ぶり1万4100円割れ
東京株式市場の日経平均株価は1月31日に1万5000円割れたが、その後3営業日で906円06銭(6.08%安)も下落した。新興国リスクで為替動向が揺れ、乱調な展開が続いている。
国際経済アナリストの小田切尚登氏は、「直近はユーロが強いですが、新興国市場の動揺で通貨は強いところ、安定したところに戻ってくる傾向にあります。円高圧力が強まっているのはそのためです」と説明する。「円高→株価急落」のパターンだ。
米国の金融政策の影響もある。米連邦準備理事会(FRB)による緩和縮小に伴って、これまでカネ余りで新興国に流れていた資金の流れが変わり、新興国市場から資金を引き揚げる動きが強まったことがある。小田切氏は、「この流れが(市場が下落している)根本的な原因」と指摘する。
これに、経常赤字や政治リスクなど新興国が独自に抱えている問題が悪化した。ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの「グローバル・マーケット情報」は1月27日のレポートで、「直近の新興国をめぐる不安定な動きは、中国やアルゼンチン、ウクライナの情勢が重なったことに端を発している」と指摘した。
中国では1月の製造業購買担当者景気指数(PMI、速報値)が49.6と、景況の改善・悪化の節目となる50を6か月ぶりに下回り、中国の景気減速が市場で強く意識されたことや、中国工商銀行が販売した理財商品のデフォルト懸念が拡大したこと。
国内情勢やインフレ率の悪化が資金流出を招いているアルゼンチンでは、外貨準備の減少からペソ買いの為替介入を取り止め、結果として対米ドルでの通貨切り下げの決定(アルゼンチンは固定為替相場)につながって通貨の下落に拍車をかけたこと。
ウクライナは政治情勢の悪化を要因としてみている。
小田切氏は、「タイなども政治情勢が思わしくありませんが、なかでもアルゼンチンの影響が大きいようです」と話す。