2014年4月から消費税率が8%に引き上げられるのを前に、対応方針を固めた新聞社も出てきた。増税分を価格に転嫁すれば部数減少に拍車がかかるが、値上げを見送ればさらに経営が悪化することは確実だ。
新聞業界が求めてきた軽減税率の適用は現時点では見送られており、いずれの道でも情勢は厳しい。
デジタル版機能を充実させ、少しでも解約を減らしたい考え
いち早く対応方針を決めたのが朝日新聞だ。木村伊量社長は1月6日の社内向け新年祝賀会で、
「ライバル各社の動向を見極めて最終判断するが、本体価格に増税分をそのまま転嫁して、読者の皆さんにご理解をお願いするのが筋だと思う」
と述べている。大手紙の1か月の朝夕刊購読料金は税込み3925円なので、14年4月の増税分をそのまま転嫁すると、月額4037円になる計算だ。月ベースでは110円程度の負担増だが、
「部数減少に拍車がかかると覚悟しなければならないだろう」
と、木村社長の警戒感は強い。
部数減に対しては、大きく二つの方向から対策を進めるようだ。ひとつが読者の利便性向上だ。紙媒体の朝夕刊を購読している人で、月額1000円を追加して朝日新聞デジタルを契約している人は、夕刊の紙面をPCやタブレット端末で見られるようになる。デジタル版の機能を充実させ、少しでも紙媒体の解約を減らしたい考えだ。