「原発問題があるから、東京五輪は辞退すべきだった」。東京都知事選に出馬表明した細川護煕元首相(76)が、ジャーナリストの池上彰さんによるインタビューでこんな内容の発言をしていたことが分かり、ネット上で疑問が相次いでいる。
インタビューは、2013年12月27日に発売された池上彰さんの著書「池上彰が読む小泉元首相の『原発ゼロ』宣言」(径書房刊)に掲載された。
池上氏も五輪辞退なら「とてつもない問題になっていた」と苦言
細川護煕元首相はそこで、安倍晋三首相について、感性が鈍過ぎるとして憲法改正などの政策を批判したうえで、2020年の東京五輪についても、こう主張した。
「安倍さんが『オリンピックは原発問題があるから辞退する』と言ったら、日本に対する世界の評価は、もう格段に違ったものになっていたと思いますよ。指名を受けても辞退して、そう宣言していたら、『日本はやっぱりすごい国だ』という評価になったと思う」
それがリーダーシップだとし、安倍首相が原発事故について「状況はコントロールされている」などと宣言したことは、「まったく、まやかし以外のなにものでもない」と批判した。そして、「金メダルをたくさん取るよりも、いまこの時代に原発をどうするかということのほうが、日本の将来にとってよっぽど重要な話のはずです」と断言している。
細川氏はまだ、脱原発以外の政策を明らかにしておらず、五輪については、成功させたいとの公約を盛り込んだとも報じられた。しかし、インタビュー内容の一部が報じられると、ネット上では、「すごい妄想してんな」「都民ドン引きw」「思いつき政治はもう結構」といった批判が次々に寄せられるようになっている。
インタビューした池上さんも著書の中で、もし五輪を辞退すれば、風評被害がひどくなって日本の農産物を買わなくなり、「とてつもない問題になっていた」と苦言を呈したほどだ。
発言は、五輪以外でも一貫せず
読売新聞の2014年1月17日付記事によると、文科省幹部は、「五輪返上となれば、国際的な信用を失い、東京では当面開催できなくなる」と懸念を示したという。菅義偉官房長官も16日の会見で、「五輪をやってほしいというのが国民感情ではないか」と細川護煕氏の発言を批判している。
報道によると、細川氏側も、発言と公約との整合性をどうするかを巡ってもめているという。脱原発の内容についても意見がまとまらず、15日に続いて17日の記者会見も延期され、20日以降に回される事態にまでなった。
細川氏の発言は、五輪以外でも一貫していないようだ。
池上彰さんのインタビューでも、「『原発ゼロ』がいまでなく、30年後でもいいんです」と言ったり、「日本も、10年か、20年か、30年かかるかわからないにせよ、『即原発ゼロ』にするんだと明確に言い切ったほうがいい」と言ったりしている。
また、徒党は好きではなく、日本新党時代のように1人でやる方がいいとして、「小泉さんとは、おたがい別々にやろうということです」と言いながら、出馬表明時には小泉純一郎元首相から支援を受けるようになっている。
ただ、インタビューでは、脱原発は政治的に動かない方が成功するとして、小泉元首相と組むかといった取材は断っていたと明かしており、いずれ組む考えはあったのかもしれない。