韓国が米国でロビー攻勢を強めている。カリフォルニアのグレンデール市では、いわゆる従軍慰安婦をモチーフにした像が設置されたのに続いて、バージニア州議会の委員会では、教科書に韓国側が主張する日本海の名称「東海」(トンヘ、East Sea)の併記を義務づける法案が可決された。
にもかかわらず、日本側は「既存の立場に基づいて適切に対応している」だけで、新たな手を打つことができていないのが現状だ。このままでは「連戦連敗」になるおそれもある。
17年3月までに全米で同様の法案成立目指す
バージニア州議会の上院教育厚生委員会で2014年1月16日に賛成多数で可決された法案では、州内の公立学校で使用される教科書で日本海について言及する場合、「東海」の併記を義務づけている。併記を求める法案が通過するのは米国では初めて。本会議でも可決するとみられており、州知事の署名などを経て成立すれば、7月1日に施行される見通し。
法案は韓国系団体のロビー活動を受けた2議員が提出。このロビー団体は17年3月までに全米50州で同様の法案の成立を目指している。
この動きに対する日本側の対応は、非常に心もとないものだ。菅義偉官房長官は1月17日午前の会見で、「日本海の名称は国際的に確立した唯一の名称」だとして、
「米国政府も日本海名称の単独使用を支持しており、本件についても日本の既存の立場に基づいて適切に対応している」
と説明した。だが、具体的な対応策については
「既存の立場に基づいてしっかりと働きかけを行うという適切な対応をしているところ。詳細についてはお答えを控えたい。主張すべきはしっかり主張しながら、しっかり立場を維持できるようにする」
としただけで、具体策は明らかにされなかった。
法的拘束力なくても「米国務省も簡単には無視できない」
「東海」問題の他に、慰安婦問題でも日本は劣勢に立たされている。米下院が1月15日に可決した1兆1000億ドル規模の歳出法案にも、韓国ロビーの「成果」が反映されているためだ。具体的には、国務省海外業務歳出法案の合同解説書のアジア・太平洋の部分に、07年に下院が採択した慰安婦に関する決議を遵守するように日本に求める内容が盛り込まれた。07年の決議では、慰安婦に対して日本政府が正式に謝罪するように求めている。
具体的な法案の条文ではないため法的拘束力はないが、韓国メディアでは、
「米国務省の外交的な働きかけと日本政府に謝罪を迫る象徴的な効果がありそうだ」(聯合ニュース)
「歳出法に明示されているので米国務省も簡単には無視できない。日本政府には謝罪をするよう圧迫する象徴的な効果が大きいというのが在米韓国大使館側の説明だ」(中央日報)
といった論調で、大きな前進だと受け止めているようだ。