ほうきを持つ女性型ロボットのイラストを学会誌の表紙にしたことが女性差別との批判も浴びていると報じられ、人工知能学会がサイト上でお詫び文を載せた。一方で、過剰反応ではないかとの声も出ており、論議になっている。
「女性ロボットの表紙めぐり炎上」。朝日新聞は、2014年1月9日付朝刊の科学面で、表紙にネット上で批判も出ていることをこう大きく報じた。
女性差別だ、いや過剰反応だと意見分かれる
人工知能学会では13年12月25日、社会への情報発信を強めようと、学会誌の表紙をリニューアルしたことをサイト上で発表した。そこでは、腰にケーブルを付けた女性型ロボットが、手にほうきと本を持ってこちらを見つめているという、学会誌としては異例のイラストが載っていた。イラストは女性が描いたという。
ところが、発表後からは、ツイッターなどで、女性差別ではないかなどと不快感を訴える声も出るようになった。さらに、米MIT助教で現代アートを手がける「スプツニ子!」さんが26日、表紙について、「ひ ど す ぎ !!!」と女性の立場でツイートすると、著名人の発言だけに注目を集めた。「スプツニ子!」さんは、「例えばアメリカの学会誌表紙が黒人や黄色人種の掃除アンドロイドだったらというのを想像してほしい」として、表紙について国際的な視点が欠けていると批判している。
その後、ネット上では議論が続き、表紙については、賛否両論が出ている。脳科学者の茂木健一郎さんも「これは、スプちゃんの言う通りやな」とツイートするなどしたが、一方で、「そんな目くじら立てることかね?」などと過剰反応を戒める声は多い。
朝日新聞の記事では、ネット上には過剰反応だと反論する声があり、学会誌の編集委員長が個人的に女性の意見を求めたところネガティブな反応はなかったとも紹介している。しかし、「趣味の同人誌ならまだしも、より公共性が求められる学会誌としては問題だ」とする識者のコメントで締めくくっている。