中韓との外交はもうこれ以上悪くなりようがない。だから靖国参拝をしても悪影響は小さい――そんな分析も少なくないが、情勢は果たしてどうなのか。
韓国側は、今後の外交日程をいったん白紙に戻すなど、日本との関係を事実上、一時的に「凍結」させる見込みだ。安倍晋三首相の任期中、「関係改善は不可能だろう」という悲観的な声も少なくない。
相手は今までの日本ではない、「新しい日本」だ
「これまでの(対日外交)政策基調通りに進めるのは難しい状況」
韓国の政府高官は、聯合ニュースの取材にこう答えたと伝えられている。
韓国ではこれまで、「正しい歴史認識」を日本側に求めつつも、あくまで日韓関係を安定的に発展させることを基本方針としてきた。国内では対日強硬姿勢が強調して伝えられがちではあったが、外交ルートでは改善に向けた努力が続いており、李明博政権時代以来途絶えていた次官級戦略対話も、2014年1月の開催を目指して調整が続いていた。また3年間なかった局長級の安保対話も、近く開かれる予定だった。
しかし今回の参拝で韓国内では、「状況は変わってしまった」との認識が広がっている。比較的早くから日本との関係改善を訴えていた韓国最大手紙・朝鮮日報が27日付社説で、
「『これまでの日本』はもう存在せず、海の向こうの『新しい日本』が頭をもたげつつある」
と指摘したのは、その典型だ。「いつかは日本も考え直す」という韓国側の希望的観測が、一気に吹き飛んだことがうかがえる。