ビットコイン提唱者「サトシ・ナカモト」は誰か? 京大有名教授、米大学教授、欧州の金融機関関係者・・・

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   2013年終盤に世界経済をにぎわした仮想通貨「ビットコイン」。取引価格が暴騰したかと思えば、中国をはじめ中央銀行が規制に乗り出す国が出始めて急落するなど、激しい値動きを見せた。

   ビットコインを発明したのは、サトシ・ナカモト(中本哲史)という人物だ。日本人名のようだが、その正体は一切明らかになっていない。

米情報工学の権威が「ナカモト氏は望月新一教授」

「ナカモト氏」は複数存在する?
「ナカモト氏」は複数存在する?

   英ガーディアン紙が2013年12月9日に発表した「2013年・今年の顔」には、米政府による個人情報収集を暴露したエドワード・スノーデン氏や、3月に第266代ローマ法王に就任したフランシスコ法王がランクインした。その中で6位に入ったのがナカモト氏だ。世界に与えたインパクトの大きさが想像できる。

   ナカモト氏は2009年、「ビットコイン:P2P 電子マネーシステム」と題した論文をインターネット上に公表した。和訳版も入手可能で、論文の冒頭にビットコインの最大の特徴、すなわち「金融機関を通さない直接的オンライン取引が可能になる」点が書かれている。政府や中央銀行の規制に縛られない斬新な通貨の理念は、金融不安に揺れた欧州を中心に海外で受け入れられ、日本国内でも専用の取引所が整備されたり、決済に取り入れる店舗が徐々に登場したりしている。2013年11月には、1ビットコイン=12万円超と最高値をつけ、この1年で世界的に「ブレイク」した感がある。

   ところが肝心の提唱者の人物像が不明なままだ。正体を巡り、世界中で様々な憶測が飛び交う。米情報工学の権威で、「ハイパーテキスト」の生みの親であるテッド・ネルソン氏はズバリ「この人だ」という名を挙げた。ビットコインの優秀さやナカモト氏を絶賛した約13分に及ぶ「大演説」の自作動画を2013年5月17日、「ユーチューブ」で公開。そこで「ナカモト氏とは、京都大学数理解析研究所の望月新一教授だ」と断言したのだ。

   望月教授は2012年8月、数学上重要な「ABC予想」を証明する論文をネット上に公開し、世界中から大きな注目を浴びた。画期的な論文を載せるうえで、旧来の学術的なチャンネルを使わずにネットを利用する手法がビットコインのケースにも共通している、というのだ。もちろん理由はこれだけではないだろうが、ネルソン氏は「確証あり」とばかりに「望月教授説」を主張していた。ただ、望月教授本人は否定しているという。

ビットコインに似たデジタル通貨を開発していた米教授

   米IT系ネットメディア「TechCrunch」は別の候補者を示した。「スカイ・グレー」と名乗る研究者がブログで、ナカモト氏が米ジョージワシントン大学のニック・サボ教授だと指摘したというのだ。

   この研究者の12月1日付のブログを見ると、サボ教授は1998年から数年間をかけて、中央銀行に制約されないデジタル通貨のメカニズム開発を手がけ、後に「ビットゴールド」と呼ばれるシステムを構築しており、これが最終的にビットコインにつながったと説明している。「TechCrunch」では12月5日付の記事で、「スカイ・グレー」氏のインタビューを掲載しているが、同一人物説を唱える根拠として、文章スタイルや言い回しが分析の結果非常に似ている、ビットコインが発表される数か月前にサボ教授がビットゴールドの共同研究者を探していた、ビットコインと類似した仮想通貨にもかかわらず、ナカモト氏の論文にサボ教授の研究が触れられていないのは不自然、などを挙げた。

   「複数人説」もある。米誌「ニューズウィーク」を傘下に持つオンラインメディア「IBタイムズ」は12月16日、ビットコインの事情に詳しい人物の話として、欧州出身で金融機関に勤める数人である可能性が高いとした。ただし明確な根拠があるわけではなく「ナカモト氏のことは誰も知らない」と付け加えた。「ナカモト」とは偽名である可能性も指摘した。

   前出のネルソン氏は「ナカモト氏は、ノーベル経済学賞間違いなし」と太鼓判を押した。仮に日本人だとすれば、この分野では初めての受賞となるのだが、本人が正体を明かす日はくるだろうか。

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